SSブログ

木皿食堂 6粒と半分のお米[木皿食堂2] / 木皿泉 [本のこと。]


木皿食堂

木皿食堂

  • 作者: 木皿 泉
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/05/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



木皿食堂2 6粒と半分のお米

木皿食堂2 6粒と半分のお米

  • 作者: 木皿 泉
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


エッセイ集と、インタビューほか、いろんな言葉がいます。
脚本家である木皿泉さんの神戸で連載しているコラムが中心ですが、そこに様々な断片がまとめて収録されています。脚本の執筆に関することやシナリオのとらえ方、立ち位置も含めやはりこの方々は独特だなぁと改めて思います。
2冊目で収録されているNHK Eテレで放映されていた佐藤健くんとの対談は、番組も観ていましたが、こうして文面で読んでも面白かったです。
自分は木皿さんの作品を知ったのが比較的遅かったんで、実は「野ブタ」とか「Q10」とか、その時期のドラマは全然観ていませんでした。そして「昨夜のカレー、明日のパン」を読んで一気にはまりましたので、DVDレンタルなどでちょっと探してみようかと思っています。
タグ:木皿泉
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

カレイドスコープの箱庭 / 海堂尊 [本のこと。]


カレイドスコープの箱庭 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

カレイドスコープの箱庭 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/07/04
  • メディア: 文庫


「玉村警部補の災難」に続いて、宝島社からこの作品も文庫化されました。
実は、この先いつになるか分からなかったし、一度確認しておこうと、「ケルベロスの肖像」と「輝天炎上」を読み返してたところだったんですが、そんなタイミングで書店に並んでたんで、とりあえず購入、先の2冊を無事終えて早速取り掛かりました。
白鳥・田口シリーズとしてはいよいよ本当の完結ということですが、その内容はどこか原点回帰というか、最初の最初に「チーム・バチスタ」を読んだ時のあの感じがよみがえってきました。病院内部で起こる問題として、ケルベロスの時点でとにかく派手にやってしまっているんで、比べてもこちらはかなり穏やかな解決ではあったんですが、実はこうした火種のようなものは、おそらくまだまだあちこちになるんだよともとれるものです。「ケルベロス」のボーナストラックとしてちらっと登場のあの辺りももちろんつながってくるんでそれも嬉しかったですが、それを上回るサプライズ。なんだか感慨深いです。
単行本はすでに出ている幾つか、まだもちろん文庫化はされていない作品は、この本線である田口・白鳥シリーズ以外にもまだ残っていて、そちらが楽しみです。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「セッション」 [cinema]


セッション コレクターズ・エディション[2枚組] [DVD]

セッション コレクターズ・エディション[2枚組] [DVD]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • メディア: DVD


6/21(日)に、これは「夫婦フーフー日記」とハシゴして観てきました。
お目当てがこちらの作品です。

2015年のアカデミー賞において作品賞にもノミネートされ、J・K・シモンズが助演男優賞でオスカー受賞、そして遡って知ったんですが2014年サンダンス映画祭にてグランプリと観客賞をすでに得ていた、この作品の撮影期間がわずか19日間というのが驚きです。
もちろん若干28歳の新人監督で低予算で製作されているから当然なのですが、だからこその凝縮された熱量は本当に圧倒されました。
名門学校でジャズドラマーとして見出された無名の若者が強烈な指導者から極限まで磨かれ、そこから羽ばたく様を追う、ある意味でど真ん中のシンプルな脚本ながら、その骨太なテンションに釘付けでした。
観ておけて、本当に良かったです。
そしてもちろん、サントラも最高です。
セッション [国内盤HQCD仕様]

セッション [国内盤HQCD仕様]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rambling RECORDS
  • 発売日: 2015/03/04
  • メディア: CD


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

「夫婦フーフー日記」 [cinema]


夫婦フーフー日記 DVD

夫婦フーフー日記 DVD

  • 出版社/メーカー: エイベックス・ピクチャーズ
  • メディア: DVD


6/21(日)に観てきました。
かなりこの更新をさぼってしまったので、せっせと記録していかないと。

自分はついつい、こういうテーマの作品に惹かれてしまいます。
ただでさえ歳のせいもあってか涙腺弱いくせに。
実在の闘病ブログから書籍化、先にNHK BSプレミアムにてドキュメンタリードラマ化されていたのを、ちゃんとは知りませんでした。
これが長編映画3作目となる前田弘二監督は今回初めてですが、なんと微笑ましくも軽妙な意外なファンタジーともいえる要素が加わった脚色によって、より後半、ぐっと感情移入してしまいました。
主演の佐々木蔵之介さん、永作博美さんの二人の掛け合いが実に自然で、テンポが絶妙でした。
永作さんが演じると、こういう様々な感情がないまぜになった感じって、すごくリアルでキュートでいいです。
がんフーフー日記 (小学館文庫)

がんフーフー日記 (小学館文庫)

  • 作者: 川崎フーフ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/02/06
  • メディア: 文庫


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

玉村警部補の災難 / 海堂尊 [本のこと。]


玉村警部補の災難 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

玉村警部補の災難 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/06/04
  • メディア: 文庫


いつになったら、次の文庫が出てくれるんだろうと、けっこう待ってました。
これです。
玉村・加納コンビで長編の桜宮サーガの途中の時期をつないでいく様々なエピソードが、やっぱり楽しいです。
なんとなく、ワードとしてはあちこちで登場していた気がする「青空迷宮」って、こんなエピソードだったんだ・・・ていうのがいちばん意外でした。やはりついて、螺鈿とか、その辺りとの関連を想像してて、もっと陰鬱でどろどろのものをイメージしてたんですが、よく考えたら、青空でしたね、舞台が。ある種の密室ミステリーだから、他より一層、これはエンターテイメント寄りでした。

あと数冊、まだ文庫化が実現していない作品があります。
またしてもこれをあっという間に読み終えてしまったんですが、たぶんすぐ次は出ないでしょうから、仕方なく「ケルベロスの肖像」を読み直しております。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ノルウェイの森 / 村上春樹 [本のこと。]


ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09/15
  • メディア: ペーパーバック



ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09/15
  • メディア: ペーパーバック


「蛍」を先に読み終えたので、その記憶が新鮮なうちにと思い、一気に読み進めてました。
考えてみれば、初めてこの作品に出会った頃、この物語が自分にはひりひりするくらい身近で生々しい実感があって、センチメンタルな気分に満ち溢れて読んでいた記憶があります。
あれからもう、そこそこの年月が経ち、自分が目にしてきたものも、感じてきたものも沢山あって、同じ文体を改めて追っていても、見えてくるものがやはり違います。その距離感は、この作品の冒頭に描かれている、時間が経って“僕”が過去に向き合うエピソードとどこか似ている気がしました。以前なら、自分にはこの感覚をまだ持ち合わせていなかったし、それに類する経験も何もしていませんでした。
順番にこうして過去の長編作品をたどっていく中で、毎回思うのは、すでにこの作品以降のキャリアで発表されたものが、思いがけない形で様々にリンクしていて、後から更新された記憶を喚起しながら共鳴する部分が、読むたびに増えていっている感じがしています。そしてもちろん、この作品より以前に書かれたものとも共鳴していて、複雑な和音が聞こえてくるようです。

読み終えてふと、この物語を最後に直子というキャラクターは(あるいは同等と考えていいキャラクターは)語られることがなくなったように思えたりするんですが、ミドリについては、この先にまだ、どこかで再開するのかもしれないという予感があって、その可能性を改めて考えたりしています。
次に新しい長編が登場するのがいつかわからないし、それがどんな作品になるかももちろん分かりませんが、なんだかちょっと今まで考えなかった期待が浮かんできました。楽しみです。
ほんとはまだ、読み進めなくちゃいけないはずの短編が残っているんですが、「ダンス・ダンス・ダンス」に向かいます。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「ビリギャル」 [cinema]


映画 ビリギャル DVD スタンダード・エディション

映画 ビリギャル DVD スタンダード・エディション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


6/19(金)に観てきました。
映画館がしばらくぶりになってしまっておりました。
ここから、少し再開できそうです。
この作品、実はただもう単純に、有村架純ちゃんのあの金髪ギャル姿があまりに印象的で、内容にはそこまで期待せずに軽い気持ちで観ようと思いました。
後から知ったんですが、原作者でもある塾の先生の坪田さんの本人に、今回演じていた伊藤淳史くんが本当にそっくりでびっくりしました。
実話を基にしたこの本を読んでいませんが、コミカルなテイストの中に受験生を陰ながら応援する様々な熱い思いみたいなものが映画化脚本にもおそらくそのまま活かされていて、惹きこまれてしまいました。
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話

  • 作者: 坪田信貴
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2013/12/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

蛍・納屋を焼く・その他の短編 / 村上春樹 [本のこと。]


螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/09/25
  • メディア: 文庫


本来なら、順序としてはこの作品集は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」より先に読んでいくはずのものでした。
なんとなく、長編を次から次と、ちょっと自分の中で勢いがついていた時期で、こちらは後回しにしておいたんですが、この次に控える長編を考えると、やはりここは飛ばさないでおこうと思い返し、読みました。
表題作の「蛍」、それに「納屋を焼く」については、内容もなんとなく記憶していたものとのずれはなかったんですが、「踊る小人」って、こんなだったのか・・・と、これは記憶していたはずの内容とかなり雰囲気が異なっていて意外な印象でした。記憶の中では、この作品は軽妙でユーモラスな一遍だと勝手に思い込んでいたんですが、何か別のものと勘違いして記憶していたようです。その意外な再発見は愉しい追体験でした。

ということで、次はいよいよ、あの作品、です。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

夢を売る男 / 百田尚樹 [本のこと。]


夢を売る男 (幻冬舎文庫)

夢を売る男 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫


順序としては追い越していた形の「海賊と呼ばれた男」があって、
ちょっと久々に文庫化作品がようやく登場してました。

出版業界の普段まず見ることのない裏の部分を題材に、ちょっとすれすれな感じで描かれているので興味深かったです。
なんだかここしばらく、マスコミにてのひら返しされて一気にバッシングの対象になった人のようなイメージですが、その時期にこうした作品が書店で平積みになってるっていうのも、なんとも妙です。
その辺りも考えてみると、結構痛快ではあります。

同じように比べるのは乱暴かもしれませんが、本屋大賞に関して批判的なコメントをブログに残していた海堂さんの新しい文庫が全然出ていない状況って、もしかして書店から冷遇されてるからなのか?とか、つい勝手に想像してしまいます。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「寄生獣 完結編」 [cinema]


寄生獣 完結編 DVD 豪華版

寄生獣 完結編 DVD 豪華版

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


5/5(火)に観てきました。
まだ前作の記憶も新しく、ほぼ残った状態での鑑賞です。

冒頭、前編のおさらい映像が少し紹介されますが、もしその部分が全くなくても自分は気になりませんでした。
ほぼ主要な人物は最初の方で出てきていたんですが、今回はやはりクライマックスの後藤との対決、そしてその前段の市庁舎でのパラサイトへ反撃を試みる人類と動物園での田宮とのやりとりの二重構造、この辺りの物語上のトピックとなる部分の畳み掛けがすさまじいテンポで、被害者であったはずの人類が、実はそうではないんじゃないかと価値観が一気に変わっていく展開に揺さぶられました。
随分昔に読んでいた原作は、細かな部分をだいぶ忘れていたんですが、ほぼ忠実にそのメッセージやエピソードを再現しているなぁと思って感心しました、後からまた原作を読み返してみたら、細部に関してはあちこち設定上も変更してあるし、ニュアンスもあえて異なる表現に置き換えているのも分かったんですが、今回の脚本で改めて納得できた部分も多かったです。深津さんが演じることで田宮というキャラクターに一層の切なさがにじみ出ていたり、新一が最後にミギーと会話する辺りも、演じたのがこの二人であるから訴えかけてくるものも確かにあったと思います。
描写の上で残忍に見える部分はあるかもしれませんが、できるなら敬遠せずに、たくさんの人にこの世界観は知ってほしいなと思いました。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

幕が上がる / 平田オリザ [本のこと。]


幕が上がる (講談社文庫)

幕が上がる (講談社文庫)

  • 作者: 平田 オリザ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/12
  • メディア: 文庫


先に映画を観て、それからこの原作小説を読みました。
演劇部の青春そのもの、という題材自体がまず珍しく、あんまりこれまで、少なくとも話題になって売れているなんてことはなかなかありませんでした。
映画に関しても、ほぼこの原作に忠実に脚本化されているのが改めて分かりました。
平田オリザ氏はご自身で戯曲も執筆しているしワークショップも様々な場所で行っていたり、また実際に高校演劇の審査員として発表をいくつもご覧になっているし、その上でこの小説のための取材はまた別に行っているはずで、出てくる登場人物たちが、結果的に自分は映画から入ったんでももクロの彼女たちの表情とかもイメージで浮かんでは来るにしても、リアルな女子高生たちの姿そのものが描かれていて、よく知っている出来事ばかりでした。ただ、全国大会を目指そうとか、そんなことは考えたりもしませんでしたが。
それにしても、たくさんの“こういうことも出来るんじゃないの”っていうネタが満載で、部活運営の考え方も含め、すごく刺激をもらえたし、ためになりました。
まだまだ、自分は未熟で、これから学んでいかなきゃいけないことがたくさんありそうです。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド / 村上春樹 [本のこと。]


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: ペーパーバック



世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: ペーパーバック


確か、4月の途中で読了してました。いや、まだ3月だったかも・・・・。
けっこう色々読み終えていたので、すでにこの辺りの記憶が曖昧です。

春樹氏の長編小説も、「羊をめぐる冒険」でひとつ、まず最初の盛り上がりと達成感を味わったんですが、ここで新たに登場した世界観と2つの物語が並行して語られる、その後につながるスタイルの登場です。
ある種、SF的な舞台設定も新鮮でした。
そこで語られる物語は、やはり心の在りようのことなので、様々な場面で描かれている風景だったり、人物の語る台詞であったり、そしてまた象徴的な暗闇の世界であったり、なんだか一気に圧倒的な熱量と、それとは対照的に静謐でおだやかな幻想の風景が、改めて読み直してみて、すごく心惹かれるものでした。

これで続いては長編小説としては「ノルウェイの森」になるんですが、一旦「蛍・納屋を焼く・その他の短編」にいきます。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「バードマン あるいは[無知がもらたす予期せぬ奇跡]」 [cinema]

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [DVD]

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD
4/12(日)に観てきました。 2015年はこれで8本目の劇場鑑賞ですが、自分にしてはすごく珍しく久々に外国映画が本数多くなっています。そしてまた、そのどれもが見応え十分で、見逃さないでいてよかったなと思えるものばかりです。 今回のこの作品もそのひとつ。 日本公開前に作品賞をはじめとするアカデミー賞受賞歴が明らかになってのもので、その期待ももちろんありましたが、予想以上にユニークな作品だったのでその新鮮な驚きもありました。 もうすでにあちこちで語られていることであろうから触れても大丈夫だと思うまず一点目は、まるまるこの作品1本が切れ目のない映像として編集されいることで体感する不思議な感覚で、あれ?と思う場面が途中幾つかあるんだけど、ずっとシーンが連続していっているので、結局疑問符が浮かんだまま一気に結末まで運ばれてしまうことで、独特の酩酊感みたいなものがあって、過去に味わったことのない余韻が残ったことです。 全体としてコメディとして描かれている脚本だし、この設定だからこそ狙い通りのちょっと意地悪なこの配役があって、現実の世界と作品の中の虚構の世界の境界がどこか曖昧で不安定なような、なんだかもやもやするあちこちくすぐられているような感覚が意外に愉しかったです。 そして、ほぼ全編、ドラムの即興的な音でのみ表現されているサウンドトラックは耳の残りました。
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

  • アーティスト: ステファノ・セゲードニ,ステファノ・セゲードニ,ポーランド国立放送交響楽団,ボザール・トリオ,リヨン歌劇場管弦楽団,シュトゥットガルト放送交響楽団,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,アントニオ・サンチェス,ジョン・アダムス
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: CD
入念に打ち合わせて、緻密に計算されリハーサルも完璧に行われたうえで一発撮りしたっていうようなライブ感の緊張と、ラストにはすべて包み込むようなおおらかな達成感が混じりあっていて、観終えて少し体温が上がってるんじゃないかと思うような状態になりました。 劇中劇の題材になっていた架空の舞台の原作、レイモンド・カーヴァーの作品を読んでみようかなと思います。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」 [cinema]


シェフ 三ツ星フードトラック始めました(初回限定版) [DVD]

シェフ 三ツ星フードトラック始めました(初回限定版) [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD


4/1(水)に観てきました。
やっと今年度に入りました。

2015年の劇場鑑賞はこれで7本目、そして外国映画が4本目となります。
この作品は、TV「王様のブランチ」で紹介されているのを観ていて、ちょっと気になっていました。
主演・製作・監督・脚本のジョン・ファブローは、「アイアン・マン」シリーズの監督でもあるようですが、そちらは全然観ておらず、今回とは製作体制も大幅に異なっています。自分は、こちらのインディペンデントなスタイルのものの方が好みです。
1966年うまれのジョン・ファブロー氏、そのもっさりしてる外見はすごく親近感があって、気のいいオヤジっていう雰囲気が今回ほんとにぴったりです。
物語の発端となるダスティン・ホフマンの演じる独善的なオーナーのレストランでの顛末から、一念発起、フードトラックで気ままにあちこちをめぐる旅にも、ネットの影響が関わってきて、描いている父と息子との絆とか、時代を問わず普遍的に扱われるテーマと今日的な要素がごちゃまぜになっているのも、そして劇中ふんだんに流れる数々のラテンな楽曲の浮き立つような楽しさも相まって、とにかく楽しかったです。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました オリジナル・サウンドトラック

シェフ 三ツ星フードトラック始めました オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2015/08/19
  • メディア: CD



nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

羊をめぐる冒険 / 村上春樹 [本のこと。]


羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/11/15
  • メディア: 文庫



羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/11/16
  • メディア: 文庫


「ピンボール」に引き続き今回、この作品を久々に読み直しました。
といっても、実はもう1か月以上前に読了しています。
しばらくぶりの更新になってしまいました。

内田樹さんの「もういちど村上春樹にご用心」を読んでみて、特に読み直したかった長編がこの作品でした。
春樹氏が新しく翻訳しなおした「ロング・グッドバイ」がそのきっかけでもあり、内田樹さんの指摘の通り、この小説の描く世界、特に登場人物の符合はやっぱりとても興味深かったです。少なくとも、初めにこの小説を読んでいた頃、自分はレイモンド・チャンドラーは知りませんでした。
初期の2作品では、現実の世界と地続きの舞台で描かれているのに対し、この作品以降、より深くなった“井戸”の中の風景が登場することになります。その舞台装置が今回は北海道という土地であり、いるかホテルというメインステージであり、羊男の棲む世界でした。
特別な耳を持つ彼女、羊博士、その息子であるホテル支配人、先生の遺志を継ぐ男、そして過去の作品とをつなぐ大事な役割になる鼠と、この物語で主人公・僕に関わってくる人物たちが、その後の長編小説でも形を変えて登場するようなその原型ともいえるものに思えました(幾つかの作品を読み進めていくと、別々の役柄を、同じ顔ぶれの俳優が作品に応じて新たな仮面をかぶり演じ分けていくようで、その面影をどこかで知っているようなちょっと独特の印象があるような気がします)。
これで、初期三部作は一度、ピリオドを打ち、次のフェーズに入ります。
今度は順序としては本来、短編に行くのもありなんですが、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」に向かっていきます。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。