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「夢売るふたり」 [cinema]


夢売るふたり [DVD]

夢売るふたり [DVD]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD


10/17(日)に観てきました。
ついつい、映画館も久々になってしまっていて、公開前から気になっていたこの作品をあやうく見逃してしまうところでした。
西川美和監督の作品は、デビュー作の「蛇イチゴ」以外、なんとか見逃さずにきています。
「ゆれる」も前作「ディア・ドクター」もそうでしたが、人と人との関わりあいの中でもより親密で深いつながりのある部分での微妙でデリケートな状況を描き出す脚本が、なんともリアルでひりひりする感覚が今回の作品でもやはりありました。
自らの腕に自信のある板前として小さいながらも自分の城を構えごくまっとうに生きようとしている主人公の市澤貫也というキャラクターを演じる阿部サダヲさんとその妻である里子を演じる松たか子さん、二人とも意外にこうした市井の人そのものというような配役って、今まで少なくとも映画ではなかったように思いますが、ちょっとした台詞の間とか息遣いだったり、表情や視線だったり、言葉を超えて伝わってくるものが深くて、圧倒されました。
もちろんお二人の演者としての力量もある前提で、やはり西川監督の演出だったり脚本の求めているレベルがすごいなと。
都会で暮らす日常的なストレスがふと垣間見える瞬間って、こうなんだろうなという状況、そこで自分自身も閉塞感の中に居て感じる、すぐそばにある他者の心の隙間に、最初はおそらく何気なく触れてしまったことから展開する真面目に前だけ見ていたら気づけなかったであろう世間の規範から自由になれる世界の闇としての魅力・・・当たり前に生きている中にも、ちょっとだけなら許されてもいいようにさえ思えるモラルからの逸脱って、宗教や信仰を基本として行動していない大多数の日本人の感覚の中に誰もが気づいてて半分知らないふりをして過ごしているようなグレーゾーン(って、ほんとは間違いなく法に抵触しているんだけど)みたいなものとして、妙に納得できる感覚だったりします。
こんな状況が許されるはずがないのも知っていて迎える結末が結局、ただ単純に手痛いしっぺ返しがあったということではない、かなりもやもやしたものが観終えた余韻として残るんですが、それは決してバッドエンドには思えませんでした。
明るく楽しい娯楽作品ではないのはもちろんなんですが、なんとも不思議な感覚が残る作品でした。
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