「神様のカルテ」 [cinema]
9/4(日)に観てきました。
原作小説が出版された頃、すぐに話題になり書店で平積みになっていて、実はずっと気になって読んでみたいと思っていたんですが、ほどなく映画化決定のニュースを知り、映画を先に、と読むのを我慢していました。
主演の一止医師役に嵐の櫻井くん。
これまで映画では「ヤッターマン」とかのイメージくらいしかなく、こういうドラマ性の物語という配役はちょっと意外でもありました。でもこれが細君のハルさんに宮﨑あおいちゃんと並んだ雰囲気とか、ぼんやりした中にも誠実さが見えたり、見た目の幼さの割に夏目漱石の文庫を傍らに持ってるちょっと理屈っぽかったりもするキャラクターを考えてみると、妙にぴったりでした。
それにしても、このハルさん・宮崎あおいちゃんの笑顔は何よりの栄養・滋養になります。
そして医師不足が深刻で過酷な地域医療の現場にこういう人がふと居たりしたら、やっぱりかなり特異な存在に見えたりするんだろうなと思います。
後から、原作を読んでみたんですが、病院のイメージも彼ら夫婦が暮らしている御嶽荘の温もりのある感じもとてもぴったりでした。
御嶽荘の奇妙な住人達、学士・岡田義徳くんも男爵・原田泰造氏も実にいいキャラクターで登場シーンは少なかったんですが、このモラトリアムな感じ、自分が学生の頃に寮で過ごしていた日々が懐かしく思い出される雰囲気そのままで、なんとも甘酸っぱい感覚になりました。やはり、門出の桜は格別です。
内科病棟では一止の同僚としてよき理解者である主任看護師・東西を演じる池脇さん、きびきびとした落ち着いた感じは惚れ惚れしちゃいます。
最先端の大学病院での人材も労働環境もかなり異なる医療と地域病院でのある種何でも屋を引き受けなければならない医療は、この作品で描かれているままではないとしても現実に大きな差異があることは嘘ではなくなっているでしょうし、それは身近で深刻な大事な問題です。間違いなくそこで置き去りにされていくのは声なき社会的な弱者であり、本来、最優先に考えられるべき人たちでしょう。
そんな考えるきっかけを与えられたこの作品、別の機会にまたもう一度、スクリーンで味わってみたいと思います。原作では、続編もあるようで、もしかしたら映画も次がまたあるとしたら、観てみたいです。
それから、今回、要所要所でさりげなく寄り添う辻井伸行さんのピアノの音色の心地よさも印象深かったです。
神様のカルテ ~辻井伸行 自作集 =SPECIAL EDITION=
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: avex CLASSICS
- 発売日: 2011/07/27
- メディア: CD
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