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「Dr.パルナサスの鏡」 [cinema]


Dr.パルナサスの鏡 プレミアム・エディション [DVD]

Dr.パルナサスの鏡 プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • メディア: DVD


2/14(日)にハシゴしてきたもう1本の鑑賞作品はこれです。
テリー・ギリアム監督の作品、「ブラザーズ・グリム」も「ローズ・イン・タイドランド」も観てなくて、実は観るのはちょっと久々です。「未来世紀ブラジル」など幾つかレンタルで観ましたが映画館で観ているのは「12モンキーズ」以来くらいです。 今回の作品は、ヒース・レジャーの遺作となり、実際に撮影途中で彼が亡くなった為、完成も危ぶまれていたもので、それがこうして公開されるという事実がまず奇跡のようです。 その実現のために監督、スタッフをはじめ夢のようなキャストが揃い、鏡の向こうの世界に多彩な奥行きを与えてくれました。 原題“THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS”のIMAGINARIUMの部分、これが物語の発端で、パルナサス氏のキャラクターにはギリアム監督自身の肖像も色濃く反映しているようで、それは現実世界の部分と鏡の向こうの世界がギリアム監督の頭の中ではどういった具合に反転するのかの具体例ともいえる描写でよくわかります。気球の顔が笑ったり、雲に架かる長い長い梯子とか、鏡の向こうには冥想の具現化したデフォルメされた世界が広がっているんですが、その映像は「フィッシャー・キング」や「バロン」、「バンデットQ」の映像にも共通するギリアム印のデザインが満載で、楽しくなりました。パルナサス氏をまるで退屈しのぎの相手のように翻弄していくトム・ウェイツの存在感が単に邪悪なだけではない裏の裏がまだ潜んでいそうな雰囲気があって、結果的には悩み多きパルナサス氏を存分に楽しませてあげてもいるように見えもしました。そして監督の分身とも言えるパルナサス博士を演じたクリストファー・プラマーは最初のキャスティングだけあってやはりぴったりです。トム・ウェイツとのやりとり、一番のよき理解者であるパーシーを演じるヴァーン・トロイヤーとの何気ない会話の無常感がなんとも味わい深かったです。ヴァーン・トロイヤーは、オースティン・パワーのシリーズでミニ・ミーを演じてる彼だったんですね。 そして、ヒース・レジャー。 この直前が「ダーク・ナイト」のジョーカー役だった訳で、あの鬼気迫る演技よりぐっと肩の力が抜けて自在に演じている軽妙さが印象的でした。その輝きがあってこそ、鏡の中で彼の分身を演じた3人が一層陰影を際立って見せることになっています。ジョニー・デップの演じたシーンは撮影に一日半しか時間がなかったとは思えない(確かに時間も短いパートですが)、幻惑的で皮肉っぽさもある表情、ジュード・ロウは狂気も見え隠れするかなり危ない雰囲気、そしてコリン・ファレルは妙に老成した面持ちと、結果的にそれぞれを引き受けた俳優さんたちのヒース・レジャーに対するリスペクトの表現の違いが少し分かるようで、かなり興味深かったです。 観終えてみると、もちろん語り部であるDr.パルナサスの物語ではあるんですが、やはりトニーという奇妙で複雑な不思議なキャラクターの印象がいちばんに残っていました。 この作品の無事公開が実現して、本当に良かったです。
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