大島弓子セレクション セブンストーリーズ / 大島弓子 [マンガのこと]
先にエッセイマンガの原作のことを記事にしたからあわてて、という訳ではないんですが、順番にこちらも読み終えました。
映画の内容に併せて、そこで登場する7つの作品をまとめた1冊がこれです。
古いものでは1994年刊の「綿の国星」、いちばん新しいのは最後に収められている2001年刊の「8月に生まれる子供」で、うろ覚えですがたぶん映画の展開に準じた形で収録されているみたいです。
実は原作であるエッセイマンガのエピソード以上に、この映画化作品の脚本を補完するテキストになっている1冊みたいです。
そして、脚本を仕上げる段階でチョイスされたこの作品群はそのまま犬童一心監督の大好きな大島弓子作品集という側面も併せ持っている形になってます。
巻頭に収められている「ダイエット」。
これは、結果的に初めて大島弓子さんの作品に触れることになった自分にとっては、出会いの作品になった訳ですが、ほとんど少女漫画の世界なんて無縁に近い状態で過ごしてきたもので、新鮮な刺激がありました。ある種、哲学的な問いかけのある、そしてユーモアがあるこの小編はなかなかの味わいで楽しめました。
後半に納められていた「金髪の草原」。
先に犬童監督により実写映画化されていた、なんとなくストーリーとしては知っていたはずの物語が、映画とはまた違った雰囲気があって、例えば小説の映画化で、先に映像を観ちゃうとその俳優さんのイメージが邪魔になっちゃうケースもあるはずなんですが、この作品に関しては、映画は映画で主役を務めた池脇千鶴さんのキュートな存在感はそのままで、マンガはマンガの“なりす”という子が自由気ままに生きてて、改めてこのお話が心に染み入りました。
そして「8月に生まれる子供」。
個人的には、映画での特に重要なポイントでもあるこの作品を、この1冊の最後に読む感覚は、なかなか心地よい体験になりました。
もしまた、映画のほうを観る機会があったら、同じようにあとからまたこの作品の味わいをかみしめたいと思います。
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