78<ナナハチ>/吉田篤弘 [本のこと。]
これは2005年の末、新しく発刊された小説で、最近クラフト・エヴィング商會の名義とは別に単独で書かれたものが幾つかあります。篤弘氏としてはまだ読んでいないものばかりですが、順に追いかけてみたいと思っています。
78というのは、そのむかしのSPレコードの回転数。まず、アナログレコードというもの自体がすでにノスタルジーであるのに、更にその回転数のものは現在完全に失われてしまっている企画になるものだから、“すでに消えてしまった、あの懐かしい記憶の向こうの日々”みたいなスタンスがあって、時代も場所もまたちがったエピソードが語る人を変えながら重ねられて、また同じ舞台に戻ったり、お互いの内容が絡み合って連作小説のようになっていました。
アナログレコード=ドーナツという連想から端を発して、
☆男2人と女1人、それと異なる時代を結び付けていく人やレコード、あるいは歌。
★クラシック音楽で同じモチーフを繰り返しながら少しずつニュアンスを変えていくような手法で語られる各章の物語。
やはり独特のストーリーテリングになっている気がします。
クラフト・エヴィング商會の本もまだ幾つか読んでいないものがありますが、吉田篤弘氏の作品をもう少しじっくり堪能してみようと思います。
次はあとから買ってきた「百鼠」です。
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