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「クラッシュ」 [cinema]

クラッシュ

クラッシュ

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2006/07/28
  • メディア: DVD


ポール・ハギス監督の手によるこの脚本は、実際には劇場デビュー脚本となる作品「ミリオダラー・ベイビー」と同時期に平行して書かれたそうで、そのもう一方を(去年のアカデミー作品賞なのに)まだ観ていないため、比べることができないのが残念です。
そしてこの作品は監督としてのデビュー作ということで。
LAという町が他のアメリカの大都市と違うのは人種や階級が車に乗り仕事に出かけ家に帰るまで自分以外の誰とも一緒に時間をすごしたりストリートですれ違うことが極端に少なく、ほぼすみわけが完成しているという非常に特徴的な生活環境があって、それゆえ、この脚本で描かれる様々な形の“衝突”こそが本来隠れている人間の影の部分を顕在化させてしまう。でもその触れ合う他人には恐怖だけで相対することが正しいわけではもちろんないという、ごく当たり前の願うべき道が時に切なくも血の通い合う偶然の連鎖によって示され、ファンタジーではないかなりシビアな手ざわりの物語の中に寓話として描かれているのが観ていてまず惹きこまれました。アメリカでは差別に対して常にある種の緊張感があるはずだし、それは9.11以降という語られ方の中に一層深い陰影が見えるのも事実。
群像劇である上に意識的に主役を作らない演出にしているようで、そのアンサンブルそのものがまず面白いのだけど、中でも個人的には鍵の修理工ダニエル役のマイケル・ペニャに心惹かれました。そしてまた内省的で控えめなマーク・アイシャムのスコアが美しくて心に残っています。


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