「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」 [cinema]
青山真治監督と浅野忠信氏はけっこう久しぶりだったんですね。「Helpless」以来。
宮崎あおいちゃんも「ユリイカ」以来。
で、この作品のタイトルは「神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや」というヘブライ語/マタイ27章46節 の主イエスの言葉とのこと。映像というかロケーションがいつものように荒涼とした中で、極端に台詞は少なく、奏でられる音楽は爆音として劇場にうなるように鳴り響き、なんとも無常感あふれる世界が描かれていきます。そういえば、「ユリイカ」も同じテアトル新宿に観に来たのを思い出しました。
物語としては、人を自殺へと追い込むウィルスの存在と、黙々と自然の音や様々なノイズを集めてそのウィルスに対抗しうる力を持つという音楽を創り出す2人の男の対峙という構造があって、そこに絡む資産家として筒井康隆氏が登場。なかなかの存在感で、味があります。その孫娘という立場で全身黒の衣装を身に纏った宮崎あおいっていうのが、「NANA」とまるで対照的なキャラクター設定になっていて興味深かったです。こっちのほうが映画でのイメージとしては自然に思えます。
かなり概念的に断片的なイメージの集積で表現される世界観は語り口としては輪郭がとらえにくく、難解な様子でもありけっこう体力がいる鑑賞でした。
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