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「インビクタス 負けざる者たち」 [cinema]


インビクタス / 負けざる者たち [DVD]

インビクタス / 負けざる者たち [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


3/1(月)に観てきました。
1000円割引デーの利用、レイトショー上映です。
クリント・イーストウッド監督の作品は、最近次々と製作されているものすごいハイペースなんですが、どれも見応えがあってやはり気になります。
今回の題材は、「チェンジリング」に続き、また実話ベースの物語でした。
舞台は南アフリカ、、1995年の出来事です。
ネルソン・マンデラ氏が初の黒人大統領に就任、そのカリスマ性の真実と屈託のない肖像をモーガン・フリーマンが魂のこもった表現で演じています。もともと、マンデラ氏との交流もあったモーガン・フリーマンがこの企画をクリント・イーストウッドに依頼して実現した形ですが、「ミスティック・リバー」や「ミリオンダラー・ベイビー」、そして「チェンジリング」とこれまでの作品の重厚で苦々しい作風からすると、一気に爽やかで前向きな展開はまずかなり意外とも思えました。
でも、南アフリカのラグビー・チームの面々が黒人地区でのコーチをしながらふれあう場面やマンデラがラグビー・チームのキャプテン、マット・デイモン演じるフランソワ・ピナールを招いて談話したことがきっかけで彼がマンデラの人柄に感化されて変わっていく過程など、前作「グラン・トリノ」ですでに提示していた憎悪や不寛容の障壁を人と人とのつながりが越えていく描き方があったわけで、クリント・イーストウッド監督にとってごく自然な流れでこの作品が撮られていると納得できるものでした。
パンフにあった記載によるとネルソン・マンデラ氏は1964年に終身刑判決でロベン島に収監、釈放は1990年、そして大統領就任が1994年・・・・この翌年にワールドカップで南アフリカが優勝と、絶望的な長い長い年月の先にこの輝かしいエピソードがあったのを知って、驚きました。
そんな彼を内面から支え続けた一編の詩が劇中でも紹介されている「インビクタス」です。
スプリングボクスの全員がこのロベン島を訪れ、ピナールが実際の独房に入ってこの詩に思いを馳せる展開は胸が熱くなります。
そういえば、モーガン・フリーマンがかつて「ショーシャンクの空に」では獄中で出会った友、アンディー・デュフレーンに感じたシンパシーを、今度は逆の立場で迎えているようでもあり、作品の内容として直接の関連はないものの観ているとこの展開はやはり感動的でした。
エンドロールでホルストの惑星・木星に歌詞を付けた曲がエスニックなビートで力強く響いているのも独特の高揚感があって好きです。

「インビクタス/負けざる者たち」オリジナル・サウンドトラック

「インビクタス/負けざる者たち」オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2010/02/03
  • メディア: CD



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コメント 6

ジジョ

イーストウッドの職人技が冴え渡ってた映画でしたね〜☆
この話が実話っていうのも、また凄い。
ラストの音楽は、ほんとよかったです☆感動的〜♪
by ジジョ (2010-03-16 11:33) 

cs

ジジョさん、こちらにもniceとコメントをありがとうございました。
「チェンジリング」でも感じたんですが、イーストウッド監督が描きたい実話の世界観って、やっぱり一貫してるものというか、観てて感服しちゃうものなんですね。
意外に最近のこんな出来事でも知らなかったり。
もう次の作品を引き続きマット・デイモンと撮ってる(あるいは準備中の企画?)ようですので、また期待が高まります。
「グラン・トリノ」もラストの音楽は良かったんですが、今回あのラストの音源が本当に大好きになって何度も繰り返し聴きたくなって、すぐサントラ買っちゃいました。
by cs (2010-03-18 21:26) 

non_0101

こんにちは。
爽やかな感動作でしたね。赦す心の深さに感動でした。
1995年の物語なのですよね~
そんなに近い過去なのかと思うと考えてしまうものがあります。
この作品を観てから「ショーシャンクの空に」を観たので、
モーガン・フリーマンはここでも長い年月を牢獄で過ごしていたのかと
ちょっと思ってしまいました(^^ゞ
by non_0101 (2010-03-22 12:53) 

cs

nonさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
ちょっとしたことなんですが、立場の違う者どうしが少しだけでも今までより心を開いて他者を受け入れることが出来るようになったら、憎しみの連鎖は断ち切れると思います。でも、それにはやはり強い信念と信じぬく覚悟、支えとなる誰かが居るかどうかって、大きいですよね。
「ショーシャンクの空に」もそうですが、年齢も肌の色も違っても、深い絆の友情っていいなぁと思います。
ネルソン・マンデラさんの存在はともかく、これが1995年の実際に起こった出来事だったなんて、自分も知らなかったんで驚きでした。
by cs (2010-03-22 14:47) 

Labyrinth

(^_^)ノ こんばんは。
ネルソン・マンデラ氏については、TV番組「電波少年」?で “松村邦洋のアポなしロケ” というのを観てしまったので、その時の印象が強く残っていました。
肝っ玉の据わった、尚かつ寛容なお人柄というものですけれども。
本作で、またより深く知ることが出来て良かったな と思います。
本当に上っ面しか知らなかったですからね f^_^;

エンディング・クレジットで流れる音楽も良い感じでしたね。
“エスニックなビート” って表現にnice!です~(笑)
by Labyrinth (2010-04-05 00:51) 

cs

Labyrinth さん、、niceとコメントどうもありがとうございます。
「電波少年」って、放映当時は完全にキワモノ扱いでなんとなく品がないみたいな印象でしかなかったんですが、確かにやってることはふざけの延長かもしれませんが、意外に後から考えると本質を突いている企画というか、究極にホットなタイミングで時事問題を扱ってる番組だったんですよね。
マンデラ氏のこと・・・・・あったかもしれないんですが、すっかりもう記憶があやふやです。
でも、この作品で描かれているキャラクターは、実際の人物像からそれほどはかけ離れていない描き方になっているんだろうなと、自然と思えました。その説得力は本人とも交流のあったモーガン・フリーマンが演じてこそ成立している部分は大きいと思います。

エンドクレジットのJupiter、ああいうアレンジで躍動感・高揚感たっぷりなのはいいですね。字幕も出ていましたけど、付けられていた歌詞もぴったりな内容だったとも思います。そういえば、「グラン・トリノ」のラストの曲もよかったんですよね。イーストウッド監督は、自分でスコアを担当してもしてなくても、音楽も素晴らしいです。
by cs (2010-04-06 23:54) 

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