「ザ・マジックアワー」 [cinema]
8/16(土)に鑑賞してきました。blogへの記事にするのが遅れがちになってます。
三谷幸喜監督の作品は「ラヂオの時間」だけ映画館で観ることが出来なかった以外、なんとかスクリーンで出会えています。
今回、公開時期が終わりそうなのでぎりぎりであぶなかったです。
たいした理由ではないんだけど、あまりに監督のメディアへの露出が公開前に多すぎて、天邪鬼な自分はちょっと素直に期待通りに出かける、というのがなかなか出来ないでいました。
本来、ミーハーな映画好きっていうスタンスで作品を選んでるくせに。
マジックアワーという言葉は、テレンス・マリック監督が撮影時にとにかくこだわるんだというのを以前「シン・レッド・ライン」のパンフを読んで知り、記憶に残っていました。実際に、晴れた日の黄昏時の独特の雰囲気っていうのは、映画撮影の世界だけじゃなくても日常的にただ空を見上げたときに味わうことができて、やはり格別です。自分も厳密にはマジックアワーじゃない時間帯かもしれないんだけど、陽が沈んでいく空になんともいえない色の混じった雲が映っているのを、まだ買い換えたばかりで珍しがってた携帯の写真で撮ったりしてた時期があります。
その頃撮っていた写真がこちら。
この作品では、タイトルにまでなっていながら、台詞として重要な部分で表現されているだけで、その時間帯がシーンとしてはメインで登場していません。主演の佐藤浩市氏の独特の立場が、結果的にその時間帯からはちょっとずれていることに関係しているかもしれません。佐藤浩市氏と同じく「THE有頂天ホテル」に引き続き登場の西田敏行氏が、監督から厳重にアドリブを禁じられて得意のコメディ作品なのに重厚な存在感でほぼ全編通すというのも、やはり三谷監督らしい描き方でした(それにしても、前作では結構ひどいいじられキャラだった…)。
妻夫木聡くんのキャラクターも彼のこれまでの出演作の中ではあんまり振られることのないパターン(でも、「クワイエットルームにようこそ」のコモノくんだと今回に近いかも…)。意外とこのずる賢くてしぶとく、ふてぶてしい感じはハマってます。それでも印象はなんだか憎めない感じで爽やかなのも独特です。
TVドラマだと妻夫木くんと共演もあった深津絵里さんも、三谷作品は今回が初参加ということですが、設定上は場末で不遇なキャラクターのはずなんですが、キュートでちょっとミステリアスでよかったです。劇中劇としてモノクロでのみ登場してくるヒロイン=鈴木京香さんとの対比になるポジションなんですが、二人とも気品があって華があって素敵でした。
そして寺島進氏。いいですねぇ。北野監督の作品に出てくるときの普段どおりのイメージのあの雰囲気なんだけど、基本ニコリともしないんだけど、その実直な表情が何よりじわじわ笑わせてくれるもので、前回より登場シーンも多いし、嬉しかったです。
美術は前回より組んで続投になっている種田陽平氏。
ホテルのあのセット同様、架空の街の一角を、今回はわざと撮影セットっぽさもあちこちに残しながら仕上げてて、少しレトロな雰囲気で、今までより舞台っぽくなっているのが見事でした。
脚本では当初違っていたのに、撮影に入って急遽歌を歌うことになった深津さんですが、この歌声がまたよかったです。
役によって鼻歌を披露することはあっても、ここまでしっかり歌うことはこれまでなかったみたいで、しかもそのシーンは引用元である「ギター弾きの恋」そのままの楽曲、「♪I'M FOREVER BLOWING BUBBLES」。このトラックが収録されているサントラが、2枚とも持ってないんですがじっくり聴き比べてみたくなりました。
美術は種田陽平だったんですか?
興味を持ってしまった…。
by CORO (2008-09-13 21:18)
COROさん、早速のコメントとnice、どうもありがとうございます。
そうなんです、美術は種田陽平氏です。
三谷監督とはこれで2作、組んだことになりますが、「THE有頂天ホテル」同様に、ディテールの描き方がマニアックな監督の趣味にたぶんかなり合うんでしょうね。
by cs (2008-09-14 00:01)