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蛍・納屋を焼く・その他の短編 / 村上春樹 [本のこと。]


螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/09/25
  • メディア: 文庫


本来なら、順序としてはこの作品集は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」より先に読んでいくはずのものでした。
なんとなく、長編を次から次と、ちょっと自分の中で勢いがついていた時期で、こちらは後回しにしておいたんですが、この次に控える長編を考えると、やはりここは飛ばさないでおこうと思い返し、読みました。
表題作の「蛍」、それに「納屋を焼く」については、内容もなんとなく記憶していたものとのずれはなかったんですが、「踊る小人」って、こんなだったのか・・・と、これは記憶していたはずの内容とかなり雰囲気が異なっていて意外な印象でした。記憶の中では、この作品は軽妙でユーモラスな一遍だと勝手に思い込んでいたんですが、何か別のものと勘違いして記憶していたようです。その意外な再発見は愉しい追体験でした。

ということで、次はいよいよ、あの作品、です。
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夢を売る男 / 百田尚樹 [本のこと。]


夢を売る男 (幻冬舎文庫)

夢を売る男 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫


順序としては追い越していた形の「海賊と呼ばれた男」があって、
ちょっと久々に文庫化作品がようやく登場してました。

出版業界の普段まず見ることのない裏の部分を題材に、ちょっとすれすれな感じで描かれているので興味深かったです。
なんだかここしばらく、マスコミにてのひら返しされて一気にバッシングの対象になった人のようなイメージですが、その時期にこうした作品が書店で平積みになってるっていうのも、なんとも妙です。
その辺りも考えてみると、結構痛快ではあります。

同じように比べるのは乱暴かもしれませんが、本屋大賞に関して批判的なコメントをブログに残していた海堂さんの新しい文庫が全然出ていない状況って、もしかして書店から冷遇されてるからなのか?とか、つい勝手に想像してしまいます。
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幕が上がる / 平田オリザ [本のこと。]


幕が上がる (講談社文庫)

幕が上がる (講談社文庫)

  • 作者: 平田 オリザ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/12
  • メディア: 文庫


先に映画を観て、それからこの原作小説を読みました。
演劇部の青春そのもの、という題材自体がまず珍しく、あんまりこれまで、少なくとも話題になって売れているなんてことはなかなかありませんでした。
映画に関しても、ほぼこの原作に忠実に脚本化されているのが改めて分かりました。
平田オリザ氏はご自身で戯曲も執筆しているしワークショップも様々な場所で行っていたり、また実際に高校演劇の審査員として発表をいくつもご覧になっているし、その上でこの小説のための取材はまた別に行っているはずで、出てくる登場人物たちが、結果的に自分は映画から入ったんでももクロの彼女たちの表情とかもイメージで浮かんでは来るにしても、リアルな女子高生たちの姿そのものが描かれていて、よく知っている出来事ばかりでした。ただ、全国大会を目指そうとか、そんなことは考えたりもしませんでしたが。
それにしても、たくさんの“こういうことも出来るんじゃないの”っていうネタが満載で、部活運営の考え方も含め、すごく刺激をもらえたし、ためになりました。
まだまだ、自分は未熟で、これから学んでいかなきゃいけないことがたくさんありそうです。
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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド / 村上春樹 [本のこと。]


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: ペーパーバック



世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: ペーパーバック


確か、4月の途中で読了してました。いや、まだ3月だったかも・・・・。
けっこう色々読み終えていたので、すでにこの辺りの記憶が曖昧です。

春樹氏の長編小説も、「羊をめぐる冒険」でひとつ、まず最初の盛り上がりと達成感を味わったんですが、ここで新たに登場した世界観と2つの物語が並行して語られる、その後につながるスタイルの登場です。
ある種、SF的な舞台設定も新鮮でした。
そこで語られる物語は、やはり心の在りようのことなので、様々な場面で描かれている風景だったり、人物の語る台詞であったり、そしてまた象徴的な暗闇の世界であったり、なんだか一気に圧倒的な熱量と、それとは対照的に静謐でおだやかな幻想の風景が、改めて読み直してみて、すごく心惹かれるものでした。

これで続いては長編小説としては「ノルウェイの森」になるんですが、一旦「蛍・納屋を焼く・その他の短編」にいきます。
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羊をめぐる冒険 / 村上春樹 [本のこと。]


羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/11/15
  • メディア: 文庫



羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/11/16
  • メディア: 文庫


「ピンボール」に引き続き今回、この作品を久々に読み直しました。
といっても、実はもう1か月以上前に読了しています。
しばらくぶりの更新になってしまいました。

内田樹さんの「もういちど村上春樹にご用心」を読んでみて、特に読み直したかった長編がこの作品でした。
春樹氏が新しく翻訳しなおした「ロング・グッドバイ」がそのきっかけでもあり、内田樹さんの指摘の通り、この小説の描く世界、特に登場人物の符合はやっぱりとても興味深かったです。少なくとも、初めにこの小説を読んでいた頃、自分はレイモンド・チャンドラーは知りませんでした。
初期の2作品では、現実の世界と地続きの舞台で描かれているのに対し、この作品以降、より深くなった“井戸”の中の風景が登場することになります。その舞台装置が今回は北海道という土地であり、いるかホテルというメインステージであり、羊男の棲む世界でした。
特別な耳を持つ彼女、羊博士、その息子であるホテル支配人、先生の遺志を継ぐ男、そして過去の作品とをつなぐ大事な役割になる鼠と、この物語で主人公・僕に関わってくる人物たちが、その後の長編小説でも形を変えて登場するようなその原型ともいえるものに思えました(幾つかの作品を読み進めていくと、別々の役柄を、同じ顔ぶれの俳優が作品に応じて新たな仮面をかぶり演じ分けていくようで、その面影をどこかで知っているようなちょっと独特の印象があるような気がします)。
これで、初期三部作は一度、ピリオドを打ち、次のフェーズに入ります。
今度は順序としては本来、短編に行くのもありなんですが、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」に向かっていきます。
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1973年のピンボール / 村上春樹 [本のこと。]


1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/11/16
  • メディア: 文庫


デビュー作「風の歌を聴け」に引き続き読みえました。
もう30年近く前、最初の全作品集が刊行された当時に、一通り読み終え、何度か読み返した小説ではあるんですが、かなり久々にきちんと向き合って読み直しました。
まだ自分が20代だった頃、特に当時は仕事を始めたばかりで、毎日やるべきことに追われ、思ったほど成果もあげられず、今にして思えば随分と頭でっかちで、要するに様々な面で経験不足だったので、気づけていなかったことばかりでした。
映画であったり、当時好きで聴いていた曲の歌詞であったり、それからこういった小説であったり、本当に表層の僅かな部分だけを感じていたんだなと改めて思います。
ここで描かれる物語は、「風の歌を聴け」から続いている一人称の主人公・僕の物語で、ここでは彼は大学を卒業し、相棒とともに小さな会社を拓いて細々と暮らしています。まだ20代前半の頃の物語ではありますが、最初に読んでいた当時、自分にはずっと先に成長している大人の世界の物語に思っていました。が、いつの間にか、こちらの年齢が彼らの年代を追い越しておりました。
ピンボール・マシンがバーの片隅にあった時代、その頃をなんとなく記憶しています。
でも1973年といえば、1965年生まれの自分にとっては、その前後の何年かと区別もつかない時代のことで、やはり遠く感じてしまいます。
少なくとも、ある日ふと自宅に帰ると双子が居て、そのまま冷静に日常を暮して行ける度量は自分の20代はおろか、30代でも全くなかったと思うし、この僕という人物の超然とした姿にはある種のあこがれというか、魅力がありました。その対比として鼠という友人のキャラクターの青臭さや弱さに共感に似たものがあります。現在の自分が改めて読んでもそこは変わっていない気がしました。
そしてこの初期の2作品は、後に続く小説を考えると、辿っておかなければならない必要な前置きのようなもので、この2作品を読んでいてその地続きとして、たとえば「羊をめぐる冒険」があるんだというのを再度実感しています。
たまたま干支が2015年は未年でもあるんで、いよいよ楽しみな小説に続きます。
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風の歌を聴け / 村上春樹 [本のこと。]


風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/09/15
  • メディア: 文庫


村上春樹氏の小説をデビュー作から、順に文庫で読んでみようと思い立ち、早速始めました。
その後の作品に比べページ数でかなり少ないのは、応募の制限もあって、当初から決められていたことでもあるという理由もあるでしょうし、その長さを選んだということもあるでしょう。
次々と発表された作品をその都度、読んできたんですが、この作品を味わうのは考えてみれば久々になりました。初めて全集で読んでいた当時、自分は20代半ばでした。
だいぶ年月が経って、文章の中で登場する様々な事柄にも(例えばアーティスト名やLPのタイトルなど)、今だから気づけることもイメージできる具体的なことも随分と最初に読んだころとは違って見えてきました。
まだこの頃、春樹氏は作家専業ではなく働きながら書かれているものだったのもあり、チャプターはそれぞれ短く、そこで描かれるエピソードの断片も簡潔なので、ついするするとあっという間に読み終えてしまいそうになったのを、途中からあえて読むペースを落としてじっくり向き合ってみました。そこで、これはもちろん後付けでしかないんですが、断片の中に「ねじまき鳥クロニクル」の情景が浮かんだり、あ、これは「海辺のカフカ」だとか、「1Q84」のあのシーンに重なって情景が浮かぶなとか、繰り返されるイメージがたくさんあって、本当に楽しめました。
そしてこれは自分が現在居る場所がかつてとは変わっているからこそ感じるんでしょうけど、僕も鼠も、ほんとに若々しいなと改めて感じます。

さて、次は「1973年のピンボール」です。
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もういちど村上春樹にご用心 / 内田樹 [本のこと。]


もういちど村上春樹にご用心 (文春文庫)

もういちど村上春樹にご用心 (文春文庫)

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/12/04
  • メディア: 文庫


書店で平積みになっているのを発見、ぱらぱらとめくって、これはすぐにでも読んでみたいと思い、購入しました。
もともとは新刊で出ていたものに、新たな記事を追加して文庫化され、村上春樹氏の小説著作に限らず、翻訳に関しても考察された項目があって、すごく参考になりました。
ついこの直前に「ロング・グッドバイ」を読了したばかりで、大いに刺激を受けました。
その中の指摘、「ロング・グッドバイ」と「羊をめぐる冒険」の関連性を確かめたくなり、改めて村上春樹氏の初期の小説を文庫でまとめて数冊、買い込んで順に読み直してみようと思い立ちました。
自分が最初に春樹氏の小説と出会ったのが、確か大学を出て勤め始めて間もない頃、まだ20代でした。

村上春樹全作品 1979~1989〈1〉 風の歌を聴け;1973年のピンボール

村上春樹全作品 1979~1989〈1〉 風の歌を聴け;1973年のピンボール

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1990/05/18
  • メディア: 単行本


これです。

内田樹氏のこの文庫にある様々な考察は、一通り自分なりに読んできた村上春樹作品に、もういちど触れて再度味わってみたくなるたくさんのヒントがあって、有難かったです。
記事は順次、更新していく予定ですが、この文庫と、現在読んでいる村上作品を常に携帯しながら日々を過ごしております。
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ロング・グッドバイ / レイモンド・チャンドラー・作、村上春樹・訳 [本のこと。]


ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

  • 作者: レイモンド・チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/09/09
  • メディア: 文庫


この作品を読むきっかけは、2014年春にNHKで放映していたドラマでした。
私立探偵フィリップ・マーロウの物語を敗戦後復興途上の日本に舞台を置き換え、主要な登場人物も一つ一つ丁寧に翻案して描かれた脚本にしびれました。
で、改めてこの原作小説を、村上春樹氏の新しい訳で読んでみたいと思い、挑戦しました。
読んでみて気づいたのは、そのドラマがかなり忠実に原作の世界観を再現しているんだなぁということ、そのドラマ制作のスタッフ、キャストに出会えてよかったと思いました。
その上で、この原作の方ですが、やはりというか、村上さんの小説のタッチに本当にそのまま置き換えられている感覚があって、しっかりハードボイルドなんだけど、自分は村上作品で出会ったことのあるキャラクターであるかのような錯覚を覚えたりしました。
それにしても、本当に読みごたえがあって、じっくり楽しませてもらえました。
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いつか海に行ったね / 久美沙織 [本のこと。]


いつか海に行ったね (祥伝社文庫)

いつか海に行ったね (祥伝社文庫)

  • 作者: 久美 沙織
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2001/11/10
  • メディア: 文庫


文庫で書下ろし作品、しかも発売は2001年なので、いつもの書店で平積みになっていなければ、まず手に取ることもなかった作品です。
読了後の印象は、映画「12モンキーズ」みたいな世界観だなぁと思ったんで、実は帯に書かれたモノとかなり印象が異なったんですが、結果、その帯のおかげで出会うことが出来た作品なので、手にとって読む行為につなげたという販売促進の意味では成功しているとはいえ、読み終えるまで、ずっと半信半疑な気分で進んでいました。
少なくとも、帯にあったように“このタイトルの本当の意味にあなたは必ず涙する”というのは、なんか感動を強制されてるようで、逆に足かせだなぁと思ってしまい、素直に読むのを邪魔された気がしてしまいます。もし伝わりにくいのであれば、それこそがこの作品の個性でもあるし、先回りで著者が意図しているか分からないところで補ったかのような言葉があることは正直、違和感にしかなりません。

とはいえ、この作品は読んでおけてよかったのは自分にとっては間違いなかったです。
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