「天空の蜂」 [cinema]
10/2(金)に観てきました。
2015年に鑑賞してきた作品は、いつもの自分の好みよりちょっとハードなテイストのものが多めになっている傾向があります。
東野圭吾氏の原作小説の、最初の出版からかなり時間が経過してこのタイミングで映画化したことであとから生じた意味が観ていて独特の感覚を呼び起こすものでした。
物語のカギを握る二人、ヘリコプター設計技師の湯原役に江口洋介氏、高速増殖原型炉の設計者・三島役に本木雅弘氏という、これが初共演なのが驚きの魅力的な顔合わせで、緊迫感のある作品に仕上がっていました。何よりまずこの二人の表現するタイプの違う放熱に魅了されました。
パンフを改めて確認したんですが、原作者の東野圭吾氏は、この小説の執筆に5年を費やしたとのこと、その取材として「もんじゅ」を見学し、いかにこの施設が安全かをレクチャーされたのちに測定してみたら、微量ながらも被爆してたという事実は、2011年をすでに過去として生活している我々には一層の衝撃として感じられます。そして小説が世に出たのが1995年、そこですでに阪神淡路大震災の忘れがたい記憶がやはり折り込まれているのは、ある意味必然ともいえます。
映画化脚本では、2015年の制作であるからこそ描けるものをラストに追加してあって、現在形としてこの物語を世に問うべきであるという姿勢がそこに窺えます。
もしかしたら、この追加シーンは宿命的にこうした作品が時間経過とともにあっという間に古びて行ってしまうものにしてしまう遠因になるかもしれませんが(過去に観た幾つかの作品でも、同じようなことは起きていて、それは避けがたいことかもしれませんが)、今日的なメッセージが有効に機能しているうちに、なるべくなら多くの人にこのエンターテイメント作品に触れてみてほしいと思ったりもします。
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