ねじまき鳥クロニクル / 村上春樹 [本のこと。]
久々にこの長編を読み終え、その余韻に浸っています。
データを見たら、1997年の時点でもう文庫化されていたんですね。
新刊として最初に並んだ2冊、そしてまさかあるとは思っていなかった完結編、第3部を一気に読んでみると、その後刊行された幾つかの長編の記憶も自分にはあるので、この作品から揺さぶられる感情の部分が随分と違ってるんだなぁと改めて思いました。初めて読んだ当時、ごく記憶に新しいものとしてあったのが阪神淡路大震災であり、地下鉄サリン事件であり、その出来事に地続きに感じられていたノモンハンはまた、その後に起こった東日本大震災、そして原発事故の記憶とともに、少し違った角度から見えてきました。
ここで描かれている綿谷ノボルという存在はその当時、あまりに強大でゆるぎなかったものに感じられていたんですが、こうして2015年になって読み返してみたとき、その存在の得体の知れなさは少し薄れて、実態がかなり漏れてきているように思えていて、それに気づいたとき少し戸惑いました。
もしかしたら、最初に読んだあの時からずっと、自分の中のねじまき鳥さんは、冷静に考えて敵うはずもない相手に対峙し、あきらめずに格闘を続けていてくれたのかもしれないと、感じました。その感覚は自分にとって、すごく励みになります。
次の長編に行く前に、「アンダーグラウンド」そして「スプートニクの恋人」と、先に読んでおくべきものがまだありますが、可能なら2015年の内に「カフカ」や「1Q84」までたどり着きたいと思っています。
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