続・風の帰る場所 / 宮崎駿 [本のこと。]
続・風の帰る場所―映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか
- 作者: 宮崎 駿
- 出版社/メーカー: ロッキングオン
- 発売日: 2013/11
- メディア: 単行本
ふと立ち寄ったいつもの書店で、平積みを発見、早速読みました。
「ナウシカ」から「千と千尋」までのインタビューはこの前のものとしてすでに読んでいます。
インタビュアーは前回に続き、渋谷陽一氏。
ただ、今回は「風立ちぬ」までの話のほか、さかのぼって監督デビューからアニメーターとしてのキャリア全体を総括する、かなり貴重な過去のインタビューも再録されていて、「コナン」や「カリオストロ」というジブリ前史にあたる彼のキャリアの中では重要な作品となる時期のものも網羅されていて、2冊を通して宮崎駿のアニメ制作人生そのものを振り返る読み応えのある内容になっていました。
宮崎アニメの一つの特徴として、公開当初だけではなく時間が経ってからも鑑賞に堪える作品になっているというスタンダードな質、それを続けるには相当のエネルギーと代償を払っているであろうことが想像に難くない特異点ともいえるものがありますが、ただただ、頑固に自らの道をたった一人で切り開いてきた訳ではなく、先人たちの数多くの財産を漏らさず吸収し、その上で築き上げてきたからこその堅牢な土台があって、その上でマニアックな機械への傾倒であったり、資質も加味され絶妙のブレンドの結晶が数々の作品群になってるわけで、ジブリだけでなくアニメーション業界全体がとにかく人材難で、殺伐とした未来が透けて見えてしまうのも無理ないことなんだなぁと、ファンとしてはあまりに残念な現状を思い知ることになりました。
それでも、志のあるアニメ作品は作り続けられるであろうし、その灯は消えないでほしいと希望を込めて思います。
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