歩くような速さで / 是枝裕和 [本のこと。]
これはかなりゆっくり、時間かけて読み進めました。エッセイ集です。
映画「そして父になる」公開少し前に刊行されていて、そのタイミングで購入、先に映画を鑑賞してしまってから、少しずつあとを追っていきました。
長編映画を撮る前はドキュメンタリー作品を手掛けていて、その後も独自のスタンスで描く作風にはどこかジャーナリスティックな側面がある監督でもあり、変わらぬ人間観察の視点が作家性として現れているともいえる作品作りをする監督だともいえると思うんですが、「歩いても歩いても」辺りから特に、監督自身のよりプライベートを反映した物語の捉え方が色濃くなっているようでもあり、それはこの本の中でも幾度か語られている点です。
自分はもともと、映画でも音楽でもその表現者の人となりだったり、製作過程でのエピソードだったりとかをインタビューなどで紹介されているものを聞いたり背景となる部分を知ることが好きだったんで、監督が考える様々な事象がどんな世界なのかを知るこうした本は大好きです。
ここにはまた、ジャーナリズムに対するある種の憤りであったり批評であったりという普段の穏やかな表情からあまり結びつくことのない結構ストレートな言葉もありました。自分は特にまた、そういった社会や世の中の決して看過してはいけない部分への言及もすごく大事で、多くの人に知ってほしいし、共感もできた部分でした。
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