幸福な生活 / 百田尚樹 [本のこと。]
いよいよ、「永遠の0」の映画が公開になるというタイミングで新しく書店に並んでいた文庫を発見、早速読みました。
この文庫版では、単行本としては未収録だった「賭けられた女」という作品も追加になってます。
今回、文庫としては「輝く夜」以来の短編集ですが、だいぶテイストは違ってて、こちらはどちらかというと読み終えたときの作品の味わいが変わっていて、それに全部の短編で最後に1行だけ、ページをめくってオチが判るような工夫が施されています。共通して家族や夫婦間あるいは不倫関係の日常似たような状況が実際にあってもおかしくはないという場面設定で、これは読む人によってはかなりドキッとするんじゃないかと思えます。
幾つかこれまで読んできた百田作品での人の生き様の気高さみたいなものは今回はテーマとしては描くつもりもないものだろうし、娯楽に徹してこれまで取り組まなかった文体で、とにかく読んで面白いと感じるものを、というチャレンジになっているのかもしれません。
表題作である短編が最後にあったんですが、これに関してはちょっと「輝く夜」の中の一つのエピソードが浮かんできました。オチの前にそれに気づいてしまうと、ちゃんと楽しめなくなっちゃってちょっと残念です。
なお、解説で宮藤官九郎さんが言ってるんですが、初収録の「賭けられた女」、読み終えて疑問符が消えません。読み返したんですが、まだどうにも解消できていない不思議な仕掛けの作品です。このことはどこか頭の片隅に残ると思うので、もし謎解きが出来たら、あとでこの記事に追記をしようと思います。
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