「終の信託」 [cinema]
10/28(日)に観てきました。
予告を観てなんとなく内容も事前にちょっとだけ知っていた作品で、周防正行監督ということで楽しみにしておりました。
周防監督がオリジナル脚本ではなく、原作のあるものを映画化するというのはかなり珍しい気がします。
草刈民代さんが久々に周防監督の作品に登場、しかも相手はやはり役所広司さんということで、「Shall we ダンス?」をつい思い出しますが、この作品はあの当時と全く違うトーンで展開し、重く、心の芯から揺さぶられるものでした。
呼吸器内科の医師として出会う患者の一人が役所さん演じる江木で、重度の喘息という症状、その辛さはおそらく家族を含めた周囲の誰も正確には理解できないもので、その状況を主治医である綾乃はもちろん十分理解でき、その上で単に患者と医師という関係以上の心の結びつきができたとき、幾つかある選択肢の常に最善を、冷静で的確に判断して選べるんだろうかと。
終末期医療としてはまだ少し認知もされているであろうがん治療の場面でも、同様の状況は起こりうるし、もし“客観的な事実”として起こった出来事のある側面を、たとえばこの物語で描かれているように最愛の家族を不意に失った遺族という視点で検討していくと、ここでの行為は医療の領域を逸脱したものであると判断されていく、そういう事例もきっとあるだろうと思います。
映画では後半、延々と被疑者 対 検事という明らかに背負っているものが異なる立場で医師・綾乃と大沢たかおさん演じる検事・塚原の会話が続くんですが、その緊張感、独特の閉塞感、実像が捉えにくく得体のしれない法という存在が個人を捕食する一部始終が描かれていて、圧倒されました。
やはり、この作品は「それでもボクはやってない」の脚本を手がけ、丹念に取材し、完成させた周防監督だからこそ描けたものなんだなぁと改めて思いました。
パンフにはトークセッションとして行われた周防正行監督と海堂尊さんとの特別対談が載っていて、より多くのことを考えさせられました。
こんにちは。
本当に考えさせられる作品でしたね。
見ていて辛かったのですけど、この作品を見て考えることが大切なのだろうなと
思いながら頑張って見ました。
大沢たかおさんは最近の「ストロベリーナイト」でもそうですけど、
静かに迫力を発揮する演技が似合いますね~
あの検事、とても怖かったです☆
by non_0101 (2013-02-11 12:37)
nonさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
確かに、観ていて辛くなる場面もあって、でも気丈に振る舞う二人の絆にも励まされたりもして、その上であの後半の閉塞感・・・
大沢たかおさんの熱演はあまりに非情に、被疑者である草刈さんを追い詰めていって、憤りがふつふつと湧いてきました。
あの検事の人物像が得体のしれないままなのにやけにリアルで、ほんと背筋がぞくっとしますね。
by cs (2013-02-11 23:33)