ブレイズメス1990 / 海堂尊 [本のこと。]
6/16に読了しました。
「外科医 須磨久義」以来、ちょっと途絶えていた海堂氏の作品の文庫化だったんですが、ここへきて再開されて、さっそく読ませてもらいました。
そんなに読みたいなら単行本でまだまだ出会ってない作品が並んでるんだから、買えばいいだけなんですが、勝手にやせ我慢して文庫化されるのを待っておりました。
この作品は「ブラックペアン1998」に続く時代のお話になるんですが、ほかの作品では登場してこなかった新しい主人公・天城雪彦医師の登場です。それ以外のキャラクターはブラックペアンから引き継いだ形になるんですが、もう一人の主人公でもある若き医師・世良先生の成長譚という側面もあります。そして、最後まで読み進んでいくと曲者・天城先生の肖像は最初のころに抱いていたイメージとはかなり遠いところに運ばれていて、この虚構のキャラクターが気づくと実在の人物である須磨久義氏の佇まいと重なって見えてきました。
のちの時代を描いた桜宮クロニクルで参照すれば、ここで登場するスリジエ・ハートセンターっていう施設がどうなっているのかはなんとなく想像がつくんですが、この作品では描かれていない未来を思うと切なくなります。
文庫を手にしてわずか2週間足らずで読み終えたので、続いて文庫化されているお待ちかね田口・白鳥シリーズの「アリアドネの弾丸」にすぐに着手です。
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