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「聯合艦隊司令長官 山本五十六」 [cinema]




1/1(日)に観てきました。
ここからがやっと、2012年の鑑賞記録です。
年度も改まってしまいました。
毎年そうなんですが、スクリーンで1本目にどんな作品に出会うかはなんだか意味があるように思えて、公開中の作品から選ぶのもそれ自体が一つの楽しみでもあります。ここ数年は特に、重厚で見ごたえのある作品を選んでいる傾向があります。
ちなみに2011年は「最後の忠臣蔵」、2010年は「沈まぬ太陽」でした。
なんとなく、自分で振り返ってみるとこの数年はその襟元を正したいというような気分でこの1本目を選んでいるように感じます。それと、これはあとから気づいたんですが、2年連続で役所さん主演の作品を元旦に選ぶという結果になってました。

この作品は副題として“太平洋戦争70年目の真実”というものが付加されていますが、その節目を問うのは2011年の東日本大震災を経験してきた我々日本人にとっても新たに大事な意味があるようにも思えます。そのカギとなるのが山本五十六という人物の肖像でもあり、この作品で紐解かれるその実像には、勝手にこちらが描いていたイメージとは随分と違った表情がありました。
結果的に彼は真珠湾攻撃の作戦を遂行するわけですが、この決断がここから太平洋戦争を開戦、展開するためのものというのはむしろ逆で、戦争を一刻も早く終わらせるための手段を幾つかある選択肢からより可能性の高いものとして選び取ったはずだったというのが、やっぱり驚きでした。
ずっと時間が経過した2011年のこの時期から見れば日本という国にとってあまりに大きな代償を払うことになった災禍になってしまったわけですが、そこで失ってしまったものは、単に大勢の人の命というだけでなく、敗戦の後に復興のためにぜひとも必要だった数多くの有望な人材、その知的財産が守っていたかもしれない日本人としての美徳や佇まいのようなもの、という気がしています。
この作品で描かれている山本五十六という人の資質、激烈な最前線の中で発揮される筋の通った豪胆さというより、より広い視野で柔軟に将来のビジョンを見据える飄々とした軽やかさが骨太なカリスマ性と同居するキャラクターは意外でもあり、この作品を通して、そういう人物像もあったんだと知れてよかったと思いました。
もちろん、脚本上の創作部分はあるとしても。
演じた役所さんの温かみのある眼差しが印象的でした。

聯合艦隊司令長官 山本五十六

聯合艦隊司令長官 山本五十六

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/11/08
  • メディア: 単行本



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