ゴールデンスランバー / 伊坂幸太郎 [本のこと。]
12/21(火)、読了しました。
ここしばらく、海堂尊作品を次々読み耽っていたんですが、ちょっと寄り道です。
実は「医学のたまご」を読み終えてから、この12月現在再度「チーム・バチスタの栄光」を読み直し始めています。次の作品として、手元に「夢見る黄金地球儀」があって、それも読みかけであるにもかかわらず。その行動の理由となる気分として、自分の中で判明しているのは、ひとつにはこれまで一気に読んできた海堂作品の世界観の細部をもう一度しっかりおさらいしたくなったのと、もっと単純に原点でもある「チーム・バチスタ」って、どんなんだったっけ?というのがふと気になってしまっていたからでした。更にいえば、ちょこちょこと登場していたはずの人物について、改めて確認しておきたくなったという理由もあります。
まあ、そんなわけで、久々に読む伊坂さんの小説です。
これは映画化された作品でもあり、すでに筋としてはどう展開していくのかも知っているものですが、確認してみたくなりました。文庫を購入したのが12/10(金)だったから、約10日で読み進めたことになります。1冊の分量としてはそれなりの長さがあるとは思っていたんですが、予想以上に読んでいくペースが速かったです。
起こっている事態がよくわからないままに窮地に陥ってしまった青柳くん、この男のイメージは、どうしてもつい映画版の堺雅人さんになってしまいます。読んでいて、最初は映画で観た時のディテールは結構忘れちゃっている気がしたんですが、全部終えるとほぼこの小説で書かれている出来事がしっかり映画化脚本で忠実に反映されている印象がありました。映画ではその場で実際に聴こえているThe Beatlesのあの曲を脳内再生しながら読むのは、小説だからこその味わいがあって、映像があったり、音が鳴っていたりすることでイメージが明確になってしまうことに利点も欠点もやっぱりあって、小説という表現だからこそ成立する、小説ならではのカタルシスを改めて感じました。映画は映画で、誠実に原作と向き合ったと思える、実際に提示された形に違和感もなかったんですが。
小説の中で登場する青柳の父の姿も、映画で特に印象的だった伊東四朗さんの姿とやはり重なって見えて、この部分を読んでいていちばん胸が熱くなりました。
映画と小説、この2つを比較しながら改めて感じたのは、物語としてこの作品、事件の真相を種明かししていく部分を最初から示さないと決めて描かれていることの潔さです。
辻褄合わせは、そのつもりで描写をしていけばたぶん出来ないわけではないはずなんだけど、あえてそこを手付かずにしていく覚悟で語っていこうという意思が、ここにあったようです。
その上で、この作品が満足度の高い評価を得ていることって、やはり大きいです。
なお、文庫ではほんのちょっとですが、文庫のためのあとがきがあり、解説とは別にその短い文章で伊坂さんの意図も改めて少し垣間見えて、嬉しかったです。解説があることも読後感にちょっとだけかもしれませんが、影響はある気がします。
もう一度、映画版をじっくり見直してみたくなりました。
こんばんわ。
海堂作品も好きですが、伊坂さん、大好きです。
これは、名作ですよね。
by よろずや「M」 (2010-12-22 20:09)
はじめまして。
本書は単行本で読みましたがなかなかスピード感があって面白かったので記憶に残ってます。
海堂作品も好きです。
また訪問させてくださいね☆
by miyu (2010-12-22 20:28)
よろずや「M」あ、niceとコメントどうもありがとうございます。
伊坂さんの小説は独特ですね。
他の追随を許さない感じがあって、しっかりエンターテイメントで。
この作品の質感みたいな部分が大好きです。
自分はまだまだ、伊坂さんの小説は読んでいないものがたくさんあるんですが、1年半前に入院中に熱心に読んだ「終末のフール」は大好きです。
by cs (2010-12-22 22:47)
miyu さん、はじめまして。
niceとコメントどうもありがとうございます。
この本、単行本で読んだほうがちょっとなんだか気分も違うんだと思いますが、いかがでしょう?
ほんとにスピード感たっぷりで、情景描写が妙に納得できて、あと人物の口にする言葉が印象深く残りますね。
何度か繰り返して引用されてる森田発言の「習慣と信頼」って、シンプルだけど刺激を受ける言葉でした。
by cs (2010-12-22 22:51)