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ジーン・ワルツ / 海堂尊 [本のこと。]


ジーン・ワルツ (新潮文庫)

ジーン・ワルツ (新潮文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫


11/17(水)に読了しました。
海堂尊作品の鑑賞が完全にマイブームになってて、もう止まりません。
ハマりまくりです。
先に購入してた「ジェネラル・ルージュの伝説」は海堂尊ガイドブックになっているので、その作品紹介を参考に次に何を読もうか検討しているんですが、順番でいけばこの作品の前に、本来なら「医学のたまご」を読みたいと思っていました。

医学のたまご (ミステリーYA!)

医学のたまご (ミステリーYA!)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 2008/01/17
  • メディア: 単行本


近所の幾つかの書店(比較的大きめで、それなりの蔵書ではあるはず)で探したんですが、既にもう新刊という時期でもなく、あちこち探してもなかなか見つからずに諦めました。で、この「ジーン・ワルツ」は一応買ったけど読むのを少し待って、流れとしては無関係だろうと先に田口・白鳥シリーズの「イノセント・ゲリラの祝祭」を読んでいたんですが、これがことのほか面白くって一気読みしてしまい、結局手元にあったんでそのまますぐに続けてこちらを読み始めてしまいました。
実は書店で取り寄せてもらえば、まず「医学のたまご」を購入して順序どおりに読めるはずなんですが単に億劫がって、入手を後回しにしちゃいました。
というわけで、文庫化されている作品を読み進めているんですが、それもそろそろ残りわずかで、あとは新書のものに行かざるを得ない状況。
となると次のお目当ては「医学のたまご」になります。

今回の物語は、実は映画化が決まっていたものでした。
公開は来年、2011年初旬の予定です。
気になります。
桜宮サーガで作品世界を構築している海堂さんの小説ですが、今回はほぼ桜宮とは関連ないままお話が進行していきました(でも、もちろんリンクはあります。地続きの世界観で展開します)。
舞台は、厚生労働省のお膝元、帝華大学医学部。
そして孤高のヒロイン、曽根崎理恵医師の勤める産科・マリア・クリニック。
不妊治療や崩壊寸前の産婦人科にスポットが当てられた壮絶でドラマチックなエピソードです。
代理母出産というスキャンダラスな側面もミステリーの味付けとして登場しますが(というか、その辺りの真相はある意味メインですが)、描こうとしている根源的なテーマはより深くて、もっと普遍的な生と死への向き合い方そのものでした。

複雑な背景を持つ妊婦さんたちの描写を含め、今回はいつもと随分テイストが違うなぁと思いながら読んでいました。

ふと、思ったんですが。
いつもとなんとなく違う、というのは、田口センセイや天馬くんのようなぼんやりキャラが登場してなかったんでした。
そういう人物が出てこないと海堂尊作品じゃない、とは思いませんが。

出産は病気ではないから保険がきかないとか、自分はたまたま縁遠かっただけですが、そんな理不尽な事実も知らずにいました。
海堂作品が描く医療現場の過酷さ、浮かび上がってくる問題は実際の日本の医療制度や社会の中に平然と罷り通っている理不尽で、それは、小説という虚構のフォーマットで分かりやすく示してもらいながらも事実の告発に限りなく近いものだと感じるし、現実にもっとどうにかならないものかと憤りを毎回読んでいて感じたりします。
そこで改めて、TVをはじめとする報道が伝えている内容がいかに一面的であるかを感じたりもします。

物語の中、懐胎した女性たちはそれぞれに抱える様々な障壁もあり、主人公、理恵にとっても共に最前線に立つ戦友のような横顔が颯爽としてて実にかっこよかったです。
後半、同時に始まる出産の場面での緊張感、その先にある感動は格別でした。
映画化でこのストーリーがどうなるか不安も半分以上ですが、やはり観てみたいです。
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よろずや「M」

映画公開、楽しみですよね~。
ちょっと期待しております。
by よろずや「M」 (2010-11-21 16:48) 

cs

よろずや「M」さん、niceとコメントどうもありがとうございます。
この作品、映画化されたらどういう具合なんだろうと、自分もちょっと期待もあります。
気になりますね。

この記事を昨日upし、その足ですぐに書店に問い合わせて、「医学のたまご」をお取り寄せしてみようと思ったんですが・・・・・なんと、理論社が倒産してしまったため、現在在庫も無く、入手困難な状況に。
「ジーン・ワルツ」と「イノセント・ゲリラ」の文庫を買ったときにも、訊いてみようとちょっと思ってたんですよね。
まさに、後悔先に立たずです。
そういう事態になると、余計急に「医学のたまご」が読みたくなってしまいます。いつか、どういう形か分かりませんが、この作品が読めるようになると信じて気長に待ちます。
by cs (2010-11-21 18:02) 

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