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ナイチンゲールの沈黙 / 海堂尊 [本のこと。]


ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫



ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫


昨日10/12(火)に読了しました。
海堂尊氏の田口・白鳥シリーズ、続編です。
実は2本の映画化作品を先に鑑賞してから最初の作品「チーム・バチスタの栄光」を読み終え、この第2作の映画化されていない小説を経由しないですぐ「ジェネラル・ルージュの凱旋」を読もうと思っていました。たまたま、一緒に買っておいた「ジェネラル・ルージュの伝説」というスピンオフ的な短編作品集+作者による作品解説など海堂尊作品ガイドみたいな文庫をちょっと読み始めて、この「ナイチンゲールの沈黙」と「ジェネラル・ルージュの凱旋」はひとつの作品がふたつに分かれたものだと知り、だったら順に、と思い直してこれを読み始めました。
「チーム・バチスタの栄光」とこの「ナイチンゲールの沈黙」は、同じ東城大学付属病院という架空の舞台で、不定愁訴外来のおなじみ田口先生が登場する物語なのに、作品の感触がけっこう違ってて驚きました。バチスタの場合は、まずこの連続する術死が果たして医療ミスなのかどうかも含め、先が読めない展開がユニークだったんですが、今度ははっきり殺人事件だし、どうも犯人らしき人物も最初から誰もが怪しいという訳ではないし、このエピソード全体の世界観が2作の間で随分違うんだなぁと思いながら読み進んでいきました。
タイトルからも判るように、メインキャラクターとして看護師たちの様々なエピソードが凄惨な殺人事件に絡んで語られます。死体に時間をかけて手を加えた痕跡があって・・・なんて、犯人像にもどうやら残虐性もありそうな描写が出てくるんですが、“沈黙”といってもレクター博士みたいなキャラクターは登場しません(当たり前か)。人の死が身近に在る職場で、前作みたいな結末だったら、やっぱり暗い気持ちになりそうだなと思ったんですが、そういう予想は覆されてくれて、逆にちょっとほっとしました。
それにしても、ナイチンゲールの歌が聴いた人の心に不思議な作用をもたらすとか、歌声のモチーフがこういう方向で展開するなんて・・・ちょっと「ウォーレスの人魚」を読んだ時の感覚に近い読後感がありました。
「チーム・バチスタの栄光」でもそうだったんですが、今回も白鳥調査官はなかなか登場しません。文庫ではどちらも下巻になってからやっと出てきて、一気にかき回していきますが、今回はさらに加納警視正という新たなキャラクターまで登場して、田口・白鳥コンビと合わせ鏡になって行動する複雑な展開。かなり面白いです。海堂さんのコメントによると(「ジェネラル・ルージュの伝説」より自作を語る部分参照)、バチスタ事件の物語を書き進めながら、後から白鳥の登場を思いついて、その流れで完成した小説にもその構成が残ったままになってるため、唐突に登場するのはある意味必然でした。でも、今回はすでにそのパターンがあった上での確信犯なんじゃないかと。映画で白鳥を阿部寛さんが演じてて、原作とはまた違うキャラクターになっていますが(この白鳥=阿部寛さんも妙にはまってて好きです)、原作の描写ではまず外見からちゃんと嫌われてしまう役人・白鳥より、同じエリートなキャラクターでも阿部寛さんのイメージとしてはこのアウトロー的な加納警視正のスマートさが一層ぴったりな気がしました。となると、この小説を先に2作製作された流れのままで映画化するのは難しくなりますね。いや、実は阿部寛、二役に挑戦とか・・・観てみたいな。
映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」の中に、この小説でのとある少女のエピソードが設定を少し変えて登場していたり、先に挙げた配役の微妙さとかいくつかの条件から、この小説はもう映画化しないで行く前提でジェネラル・ルージュの企画が進んで脚本が書かれていると思える箇所があったんですが、それでもこの作品での登場人物をもし映画化したら誰がやるんだろうと考えるのは楽しかったです。
物語の中心人物である小夜って、かなり演じるのは難しいだろうけど、もし映画化するんなら蒼井優さんにやってほしいかなと(って、これ、かなり個人的に観てみたい単なるファン心理からの妄想でしかないんですが)。

ジェネラル・ルージュの伝説 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C か 1-9)

ジェネラル・ルージュの伝説 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C か 1-9)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2010/06/04
  • メディア: 文庫



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コメント 1

cs

galapagosさん、おぉ!次郎さん、
それにみっちゃんさん、
田口・白鳥シリーズでは映画化もされていないこの作品へのniceをいただいて、ありがとうございます。
by cs (2010-10-19 09:51) 

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