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「悪人」 [cinema]


悪人 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

悪人 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


9/12(日)に「オカンの嫁入り」とハシゴしてきました。
この作品も、出演者の顔ぶれが気になり、観ておきたかった1本です。
妻夫木くんと深津さんのカップルって、「ザ・マジックアワー」の組み合わせでしたが、作品のテイストが真逆で、あちらは撮影のための虚構の町の虚実入り混じったウェルメイドなコメディでしたがこれは違います。小説が原作で、描かれる物語としてはフィクションなんですが、人間の行動や心理の複雑さや矛盾、業について深く考えさせられるリアリティ重視のごつごつとした無骨な手触りの作品でした。
演出は李相日監督。
以前、「フラガール」を観たことがあるんですが、色彩感もかなり違っているしまるで作風としては別物のような印象です。共通してるのは、美術担当が種田陽平氏だということ。
今回は陰影も濃い北九州の雄大でありながら荒涼とした孤独感が漂うロケーション、長崎と佐賀で似ているようで違う言葉、どれほど努力してみても救済されることはないであろう出来事でもがくほかない人々の表情は、観ていて誰かに感情移入できるような状況ではなかったんですが、それぞれの悲しさ、空虚さは配分や質感がちょっと違うだけで自分の中にも存在しているように思えてなんだか少し共感できるような気がしました。

悪人(上) (朝日文庫)

悪人(上) (朝日文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/11/06
  • メディア: 文庫



悪人(下) (朝日文庫)

悪人(下) (朝日文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/11/06
  • メディア: 文庫



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コメント 5

てくてく

こんばんは^^
印象深い映画でした。
柄本明が演じた父親の搾り出すような訴えが
ズーンと心に響きました。
観終わった後も、ちょっと呆然としてしまった映画でした。
by てくてく (2010-10-12 22:36) 

minku〜♪

昨日(11日)観て来たのですが、観に行く前にコメント入れたつもりが、失敗していたみたいなので、観た後のコメントで再度^^;


くおいるさんのおっしゃる通り、登場人物の誰にも感情移入をすることなく、見終わったけど、出て来る一人一人の気持ちを感じられる作品でしたね。
被害者でありながら、身勝手な彼女の言動に腹立ちながらも、柄本さんが見る現場での娘の表情を見ると、こんな娘でも親からみたらそうだよね。。。とか思ったり、
妻夫木君の最後に取った行動が、彼の不器用な愛情表現なんだなと思うと、本当に出会う順番の皮肉さを感じました。
ますお君の友達にだけでも被害者の父親の気持ちが伝わっていてよかったと思いました。
一番の「悪人」は誰なのか考えてしまいました。




by minku〜♪ (2010-10-13 02:36) 

cs

てくてくさん>
niceとコメントどうもありがとうございます。
柄本明さん演じる父親の何気なく口をついてつい出てしまうという台詞の重みが本当にやるせなかったですね。
橋の上で、雨の中頭をなでる場面も切なくて・・・。
登場人物の一人ひとりの事情がなんだか身につまされますが、特に柄本明さん、樹木希林さんがよかったですね。

minku〜♪ さん、コメントどうもありがとうございます。
妻夫木さん演じる祐一の不器用さにはなんだかちょっと共感できました。原作を読んでいませんが、どうやら彼の行動の背景に複雑な生育環境もあるようなんで、説明は極力排除してる作品でしたが、そのどうにもうまくできないもどかしさは自分がそういう境遇を実感として持っていなくても理解できるように思えました。
by cs (2010-10-13 18:00) 

non_0101

こんにちは。
観ようと思っていてもなかなか腰が上げられず、
結局最終日になってしまいました(^^ゞ
本当に見応えのある作品でした。
やっぱり映画館へ行って来て良かったです。
あのロケーションは良かったですね~
この夏、種田陽平氏の美術展へ行った時、二人が壁に描いた理想の家の絵が
壁ごと飾ってありました。
映画を観たら、あの壁をまた観たくなりました☆
by non_0101 (2010-12-15 09:50) 

cs

nonさん、この作品、劇場に間に合ってよかったです。
niceとコメント、こちらもありがとうございました。
妻夫木くんにしても深津さんにしても、これまでのキャリアではあまり演じてこなかったある意味でリスキーなチャレンジの役柄ですね。
その二人を脇で固める俳優さんたちがまた、それぞれに存在感があって見ごたえ充分でした。
種田陽平さんの美術っていうと、これまでセットのものが中心というイメージでしたが、今回はどちらかというとロケ撮影中心で、その分スタッフは過酷だったみたいですが、やっぱりあの灯台のロケーションは替えがきかない独特の説得力があったと思います。
by cs (2010-12-15 18:11) 

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