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「オーケストラ!」 [cinema]


オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD


4/24(土)にハシゴしてきました。
4月はなんだか落ち着かなくて余裕がないまま、映画館からしばらく足が遠のいてて、ちょっと久々です。
フランス映画です。これもかなり久々の鑑賞となります。
ラデュ・ミヘイレアニュ監督の経歴をパンフで知ったんですが、ルーマニアのブカレスト生まれ、共産主義者のユダヤ人ジャーナリストでナチス強制収容所を脱走した父をもち、チャウシェスク独裁政権下に亡命、イスラエルを経てフランスへと・・・・・監督自身の来歴だけでかなり彩り豊かな映画を撮れそうなプロフィールです。
そんなミヘイレアニュ監督があるプロデューサーから“偽りのボリショイ管弦楽団”についてのシノプシスを持ちかけられ、様々な協力を得て自ら脚本を手がけて完成させたこの作品は、脚本完成の紆余曲折も含め実に味わい深い要素がふんだんに盛り込まれてて、苦渋に満ちた過去をにじませるロシア人演奏家たちのしたたかで逞しいユーモラスなキャラクターにそのまま反映されてる気がしました。肝心な場面で最初からダメな雰囲気で登場するかつてのマエストロ、アンドレイを演じるアレクセイ・グシュコブ氏の、演奏会の本番直前まであたふたする軸がブレまくる人間臭さが印象的でした。その彼を温かく支え続けるチェロ奏者サーシャ役のドミトリー・ナザロフさんも素敵です。あのぼろぼろの救急車で奔走する姿が実に頼もしかったです。そして、なんといっても可憐なヴァイオリニスト、アンヌ=マリー・ジャケを演じたメラニー・ロランです。後半になって登場して、言葉数も少なめで謎めいたまま演奏会を迎えるんですが、そこで奏でられたチャイコフスキー作曲のヴァイオリン協奏曲ニ短調Op.35、この演奏シーンで明かされるドラマに心を揺さぶられました。どんな台詞よりも雄弁に語る旋律と演奏者たちの満足そうな表情、もうすっかりぼろぼろです。メラニー・ロランの切なげな眼差しが忘れられません。
2010年セザール賞音楽賞・音響賞受賞のこの作品、作品のメイン舞台でもあるシャトレ座は、まさにセザール賞授賞式のその会場だというのを後から知りました。
この作品、ほんと出会えてよかったと思います。

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コメント 14

CORO

偽りのボリショイ管弦楽団?
茨の道を歩みそうな感じですね。
by CORO (2010-05-02 00:38) 

たんたんたぬき

cs さんはじめまして。
粋で、楽しくて、じーんとさせられて、ほんといい映画でしたね。
ワタシ的には今のところ本年度N01に推しています。
演奏中に重なる、大成功したオーケストラが世界公演旅行を回っている映像が誰のイメージかちょっと解らなかったですが。

by たんたんたぬき (2010-05-02 11:19) 

Labyrinth

(^_^)ノこんにちは。
「・・・出会えてよかったと」 のお言葉 d(^_^) 最上級かも!
心に留めて、折りがあれば拝見したいと思います。
by Labyrinth (2010-05-02 11:35) 

non_0101

こんにちは。
予想以上に深くていろいろ考えさせられました~
こんなことが起こっていた何て全く知らなかったです。
そしてラストの演奏は、本当に素晴らしかったですね\(^^)/
あの演奏シーンを観れただけでも嬉しくなるような作品でした☆
by non_0101 (2010-05-02 12:15) 

ジジョ

こんにちは☆
あの物語と音楽が同時に盛り上がっていくところとか、
「うわ〜♪」って感じでした!
言葉でくどくど説明してないのもよかったな〜☆
演奏してるときはみんな格好良かったですね!
by ジジョ (2010-05-02 12:29) 

cs

COROさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
偽のボリショイ管弦楽団が2001年に香港で公演するという実際の出来事があったらしいです。それをフランスを舞台に置き換えて味わいのある脚本に仕上げたこの作品を観ていると、演奏家たちは茨の道なのを知っててもニコニコしながら軽やかに進んでいきそうな生活力がありました。
この作品について話すこと自体、楽しいことですね。
by cs (2010-05-02 13:47) 

cs

たんたんたぬきさん、はじめまして。niceとコメントどうもありがとうございました。
観ていて、物語の中にどっぷり浸れる作品ですね。
後から改めてブレジネフ政権のことを調べたり、チャイコフスキーのことを考えたり、そういう時間を経てまたもう一度、観てみたくなります。
自分は最近観た外国映画の中では、これと「インビクタス」の高揚感がよかったんですが、甲乙付けがたいです。
by cs (2010-05-02 13:53) 

cs

Labyrinthさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
確かに、感想としてあんまり「出会えてよかった」とはこれまで表現してないです。
時々、その作品へのリスペクトをこめてスクリーンでもう一度鑑賞というのもあるんですけど、そういう味わいのある作品でした。
by cs (2010-05-02 13:56) 

cs

nonさん、niceとコメントどうもありがとうざごいます。
結構この作品、特に前半はなんだかめまぐるしいテンポで笑わされて、一気にクライマックスで感動させられて、後からじんわりと色々深く考えさせられて、またあのコンサートのシーンを味わいたくなってしまいます。
このスクリーンを観ていた時間が贅沢に感じられた鑑賞体験でした。
by cs (2010-05-02 14:01) 

cs

ジジョさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
音楽の素晴らしさに乗せられて感じる高揚感が最高でしたね。
ほんとに、演奏者たちの表情が楽しそうで、それまで好き勝手にばらばらな行動とってたくせに、きりっとプロの顔になって、格好よかったです。
これぞ究極のハーモニーですね。
by cs (2010-05-02 14:05) 

てくてく

こんにちは^^
私の住む地方では少し遅れて公開されます。
興味のある作品でしたが、
ますます観に行きたくなりました^^
by てくてく (2010-05-03 10:08) 

cs

てくてくさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
この作品は、おそらくですが事前に内容についてあまり知らなくても、既に一度観てどういう展開か分かっていても、観終えたときの満足度は高いんじゃないでしょうか。
・・・って、こういう場合、ほんとはあまりハードルは上げずに気楽に観たほうがいいんですけどね。
ご覧になってからの感想をきかせてください。
by cs (2010-05-04 01:05) 

てくてく

こんにちは^^
監督さんの経歴などを拝見すると
この映画に自身の体験を注ぎ込んで作り上げた、
そんな感じがしますね。
歴史の中に葬り去られてしまった才能も、
実際にあったのだろうと想像します。
そういう歴史的な部分を改めて考えることも出来たし、
音楽の素晴しさにも感動することが出来た映画です^^

by てくてく (2010-07-09 18:50) 

cs

てくてくさん、公開されてご覧になったんですね。
これはやっぱり映画館のスクリーンと音響でじっくり堪能することが嬉しい作品ですよね。
監督さん自身の体験とか、その人にしか説得力をもって描けないものってあると思うんですが、そこから生み出される普遍みたいなものが、この作品にはあったと思えました。これは監督の頭の中で創作された脚本だとしても、そこで起こった出来事は単にフィクションではないある真実味をもって観ている者へ訴えてくるものがある気がします。
自分の普段良く利用する映画館でも、ちょっと時期がずれて期間限定でアンコール上映みたいにしてやってくれてるようです。
by cs (2010-07-11 16:21) 

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