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「さまよう刃」 [cinema]


さまよう刃 [DVD]

さまよう刃 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD


10/18(日)に2本観てきました。
そのうちの1本目はこの作品です。
予告で知ってから、これは観ておきたいと候補にしていたもので、予想以上に真正面からかなり悲痛な状況を描くシリアスな展開のものでした。

(以下、ネタバレを含む記述があります。ご注意ください)

原作は東野圭吾氏の小説で、彼のキャリアの中でも比較的最近、2004年12月に出版されていたものです。
既に映画化された「秘密」の原作出版が1998年、TVドラマになった「探偵ガリレオ」も同じ1998年、そしてちょっと前に鑑賞した「変身」は更に前の1991年でした。勝手な印象ですが、これはちょっと意外でした。この作品はもっと前に発表されてて、なかなか映画化は困難だったから後回しになった、という先入観があったためです。
主演の寺尾さん演じる長峰が、突然の悲劇的な状況になって一歩踏み込んだ行動を起こしていくんですが、観ていてそれは心情的にやはり納得のいくものに思えたのは寺尾さんの抑制された中にしっかりあるリアルな表現によるものです。台詞で語る部分がほとんど無いのに、長峰の心は手に取るように分かりました。その行動が法に触れることであるとか、社会常識ではどうとか、そういう段階で判断するより先にまず自然に湧き上がってくる気持ちに思えました。
その長峰を追いながら自らの立場に悩んでいく織部刑事・竹野内豊さんはある意味で観客に最も近い視点で、長峰の行動も理解できているからこそ、その先を踏ませたくない、けど、全力で阻止する気持ちにはなかなかなれないという切ない状況。この描き方に惹きこまれました。
織部の気持ちを誰よりも理解し、でもその気持ちを味わった先を既に経験として知っているからこそ、自らを律しなければならない立場の真野刑事。この役を演じる伊東四朗さんが渋い存在感で印象深かったです。
悲痛な結末は、ネタバレになってしまうのですが、「グラン・トリノ」の展開との対比で考えてしまう部分があって、こちらは少なくともヒロイズムは一切無い、けど様々な世の中の矛盾を浮き彫りにする結末で、考えさせられました。
もしかしたら、ここでの出会いが長峰が思い描く結末に影響していたのかもしれない山谷初男さん、酒井美紀さん親子の温かなふれあいの部分もよかったです。

さまよう刃 (角川文庫)

さまよう刃 (角川文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/05/24
  • メディア: 文庫



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