終末のフール / 伊坂幸太郎 [本のこと。]
以前から、映画館で観た「重力ピエロ」、それから斉藤和義氏とのコラボレーションもあって、伊坂さんの書く小説には興味があったんですが、これまでなぜか読んでいませんでした。
今回、生まれてはじめての入院ということになり、手元に読む本が既に何もなかったんで、病院内の売店でこの文庫本をみつけて、この機会にと読み始めました。
連作の短編集です。
なんとなく伊坂さんのイメージとしてミステリー小説という印象だったんですが、ここに収められた作品は、共通の設定、あと数年で世界が終わるという状況と「ヒルズタウン」を中心とした仙台市内を舞台として、登場人物が少しずつ関わりあっていく内容でも、意外に淡々としたストーリーテリングで、伏線や仕掛けがある感じのものではありませんでした。
中の一遍、「鋼鉄のウール」の雰囲気がちょっと斉藤和義氏宛ての短編、「ベリーベリー・ストロング」に繋がる雰囲気だったり、家族ドラマとしての物語が「重力ピエロ」に通ずるのかなと読む前から勝手に感じたり、全体を通して、ある種の極限状態を過ごしてきた市井の人々の懸命に生きている姿が温かい視点で語られていて、いい意味で予想を裏切られた作品でした。
連作全体で見えてくる世界観がなかなか素敵でよかったんですが、個人的には「演劇のオール」の展開が中でも好きです。
君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング~アイネクライネ~(初回限定盤)(DVD付)
- アーティスト: 斉藤和義,一倉宏,伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: Viictor Entertainment,Inc.(V)(M)
- 発売日: 2007/06/20
- メディア: CD
タグ:伊坂幸太郎
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