「おと な り」 [cinema]
6/28(日)に、「いけちゃんとぼく」とハシゴして観てきた作品です。
これは予告を観たときから気になっていました。
熊澤尚人監督の作品は「虹の女神」以来です。
あの作品も独特の淡い雰囲気があってよかったですが、この作品も始まってすぐに映像の質感がちょっと変わってて粗い感じがハンドメンドっぽい、ある種の迫力がありました。
あとからパンフを読んで知ったんですが、35ミリではなく16ミリ、しかも勝手に想像していたような年代モノのカメラではなく、まだ日本に数台しかないアリフレックス416という最新型のカメラでの撮影で、こじんまりとしたアパートの部屋の中でも比較的柔軟に撮影が可能だったことで得られる映像が収められたようです。
この作品は、日常の暮らしの中で注意していなければ聞き逃してしまうような些細な音へのこだわりが特徴的に響いて印象に残るユニークなものですが、音だけではなく、映像にもこの作品を成立させている微妙なニュアンスが表現されているのが改めて分かりました。
主演の岡田准一くんと麻生久美子さんのそれぞれに抱えているやるせない状況だったり、洗練されすぎていないからこそ味わいのあるちょっとレトロなアパートメントの雰囲気だったり、包み込まれるような作品全体が醸し出している雰囲気が心地いい作品でした。
ふと鼻歌で登場するはっぴぃえんどの ♪風をあつめて の詞の世界もこの脚本にぴったりで、都心から少しだけ距離を置いているこういう生活の気分が伝わってきます。
主演の二人はずっと顔を合わせることがないまま物語は進行していきますが、鼻歌だったり日常の音だったり、直接関係ないところで発せられたものをこうして控えめに共有している独り暮らしどうしの距離感って、もしそのまま関係性が発展していなかったとしても悪くないなと思いました。
こんにちは。
心地よい作品でしたね~
見終わった時の余韻がまた良かったです。
きっと観ている側の心情によっても、いろいろ感想が違ってくるかも。
何度も見てみたくなる作品です☆
by non_0101 (2009-07-15 13:00)
non_0101 さん、こちらにもniceとコメント、どうもありがとうございました。
やっぱり、こういうムードの余韻に浸れる作品はいいですね。
あのエンドロールの ♪風をあつめて の感じがまた、なんとも想像して愉しくなれるんですよね。
余白をあえて残している作品なんだと思うので、観ている側の気分が違ったり、もちろん人によって感想が意外にいろいろあったり、そういう話題で語れるとまた世界観が拡がりそうな作品でした。
自分もふと思い出して見返したり、したくなると思います。
こういうのは、DVD欲しいなと思います。
by cs (2009-07-15 21:35)