「グラン・トリノ」 [cinema]
5/17(日)に鑑賞してきました。
クリント・イーストウッド監督の作品はついちょっと前に、「チェンジリング」を観たばかりで、最近の作品はどれもそうですが長く余韻に浸れる深みのあるものだったのに、もう次が完成して公開してるのには驚きます。
今回は久々にまたイーストウッド監督も出演していて、あのまぶしげな表情も健在です。
前半、いかにも偏屈で意固地な感じから始まって、隣に移り住むことになったミン族の一家との心の交流を深めていくうちに変化していく展開、そして悪くなる一方の状況に対する決着の付け方は、自分にはメディアの宣伝文句にあったような“衝撃”ではなく、すんなり納得のいくけっこう自然な流れの中の結びに思えました。
これは、特にあの9・11の出来事以降、アメリカだけではなく場合によってはここで描かれるような個人のレベルであっても繰り返し考えてきたはずの、暴力の脅威にどう対峙していくかを余分な説明を省いて示したようなラストだと自分には思えました。
イーストウッド作品がここのところ、ずっしりと重く深く響く手ごたえのものが続いていて、人の業の深さみたいなものを逃げずに表現しようと毎回さまざまなアプローチで格闘し描き続けてきている印象で、それが観終えた後の苦味だけではない独特の余韻になっています。
でも今回は、ここ数作で比べるとユーモラスで温かな感触があって、過酷で根の深い問題が簡単には解決せずに提示されている脚本にもかかわらず、ある種の爽やかさが残っている気がします。
エンドロールで流れる曲の味わい深さもよかったです。
イーストウッド監督の映画はどれも好きな映画ばかりですが、中でも『ミリオンダラー・ベイビー」と本作がお気に入りです。
やはり本人が演じた方が伝えたい物が伝わり易いのかな?と思ったり。
重いテーマを押し付けがましくなくしっとり心に染込む様に伝えてくれる技を感じます。
ラストについては、くおいるさんの書かれている通り、「衝撃」ではなく観ていると「きっとそうなる」という展開でしたよね。
またDVDが出たらゆっくり観たい作品です。
by minku~♪ (2009-06-28 15:14)
(^_^)ノ こんにちは!
> ある種の爽やかさが残っている
本当に!
あの時には図らずも泣けてしまったのですが、なんかとても心地良い感じだったのを覚えています。
エンドロールの楽曲 とても良いと思ったのですが、一緒に観た相方は 歌が下手じゃないか なんて言ってましたけど・・(爆) あれが良いんですよねぇ (^◇^;
by Labyrinth (2009-06-28 17:16)
こんにちは。
イーストウッドの演じる頑固オヤジがとても愛しく感じる作品でした。
余韻に浸りたくなる作品ですよね~
あまりにも素敵な作品なので、まだまだ役者としてのイーストウッドも
観たいなあと思ってしまいました(^^ゞ
by non_0101 (2009-06-28 22:18)
minku~♪さん、こちらにも早速のコメントどうもありがとうございます。
監督だけじゃなく、イーストウッド氏のあの表情がやっぱり観たいから、これからも作品に出演して欲しいですよね。「ミリオンダラー・ベイビー」も、確かに重たくてかなり過酷な状況を描いてましたが、やはり印象深いドラマだったと思います。
Labyrinth さん、niceとコメント、どうもありがとうございます。
あのエンドロールの曲は、決して上手な歌が聴けて満足っていうんじゃないところだと思います。ああいうしわがれ声だからこその味わいです、やっぱり。
non_0101 さん、niceとコメント、どうもありがとうございます。
ほんとに、イーストウッドは俳優としてまだまだ演じて欲しい、彼がやっぱり演じたくなるようなまだ見ぬ脚本がこれからも待っていると信じてます。
この作品も「チェンジリング」もそうですが、いつものイーストウッド組のスタッフだけじゃなく、柔軟に新しい才能を積極的に起用していく製作姿勢がほんとにすごいです。
これだけのキャリアで、まだこの先が楽しみで新作が待ち遠しいなんて、他に居ない存在ですよね。
by cs (2009-06-28 23:25)