「容疑者xの献身」 [cinema]
2008年12/8(日)に鑑賞して来ました。
記事のupが1ヶ月、年もまたいで遅くなっちゃいました。2008年は、結局この作品で映画館はラストになりました。
TV放映のドラマ「ガリレオ」が先にあり、この作品へとつながってくるわけですが原作小説が前提で、企画としては映画もTVも並行して成立していたようで、原作にはないキャラクターも、一貫して描かれることになってるんですが、まず作品全体のトーンがTVとはずいぶん違って、別物になっていました。ガリレオ先生/湯川学=福山雅治氏のキャラクターも、基本的な部分のユニークさは一緒なんですが、例の決めポーズは映画では登場しないし、事件に関しても不可解な現象の謎を解明するという展開ではありません。
TVシリーズでも、終盤に登場した恩師・木島教授=久米宏氏との対峙はそれまでの物語とはちょっと別格の要素がありました。
今回も湯川センセイの過去に触れながら展開していく事件という性質上、もしかしたら事件の真相について湯川はかなり早い段階から気づいていたかも?と思わせる内容でありながら、そこで扱われている現象そのものにはいつものような関心はないどころか、専門外というか、論理で導き出せるような解答などない領域=人の心の部分に踏み込んで見なければならない状況になって、結果的に苦悩を強いられるというエピソードが面白かったです。
今回の作品でのゲストとなる堤真一氏も松雪泰子さんも、ついちょっと前に違う作品で全く異なる印象深いキャラクターをそれぞれ観ていただけに、今回の市井で生きる人のごく普通の生活の部分がむしろ際立って見えて、クライマックスのシーンは切なかったです。堤さん演じる石神はキャラクターとしては湯川から天才と称される特別な存在ですが、この物語の中ではその華々しさからかけ離れた場所に現在暮らしている、なかば生気を失っている人物。こういう地味なキャラクターの説得力がまさに堤さんの凄みになってる気がしました。
エンドロールで俯瞰になるシーンは、あれだけで十分その後の捜査の部分の説明になってるし、切ない余韻を演出するあの主題歌もまたよかったです。
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