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「君のためなら千回でも」 [cinema]


君のためなら千回でも スペシャル・エディション

君のためなら千回でも スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD


「明日への遺言」とハシゴしてきたもう1本の作品がこれです。
マーク・フォースター監督は「チョコレート」で初めて作品を観て、「ネバーランド」もお気に入りでした。

1970年代から先のアフガニスタンの激動の時代の変化を描く小説が原作です。この主人公アミールの境遇はおそらく原作者自身の中に刻み込まれている事実なのでしょう。作品としてはフィクションかもしれませんが、ソ連軍侵攻もタリバン台頭もなくまだ平和であった時代のカブールの活気のある街並みはおそらく確かにそこに存在していたものです。
この作品のテーマとして、失われた平和を願うという規模の大きいことよりもごく個人的な過去の出来事を新たな決意の元にどう受け入れていくかという部分に重きが置かれていることで、逆により普遍的なメッセージが伝わってきました。
現在として描かれているかつての故郷の街は戦禍によって無残に変わり果て恐怖が支配する生命の危険と隣り合わせの状況にあえて身を投じても、そこには自らを突き動かす大事なものがある・・・その思いの強さ、観ていて身のすくむような感覚もあるリアルさの中で描かれていて激しく気持ちが揺さぶられました。
アミールとハッサンという二人の少年はたまたま置かれた立場に違いはあるものの初めからずっと強い絆で結ばれていたし、それが余りにも悲しい運命によって距離を隔てても、あるいは弱い心が友情を一時失わせてしまっても消えてなくなっていた訳ではなかったと分かるのに何十年も時間がかかっていても、それはあってほしいと思いました。
作品の中で二度、凧揚げのシーンがあるんですが、この映像の躍動感が印象深かったです。

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コメント 6

minku~♪

劇場で観たいと思っていた作品ですが、
広島帰省中に上映が間に合わず、観損ねそうな1本です^^;
GW中に予告だけ観たのですが、やはり余計に「観たい」と言う気持ちは
強くなりました^^
予告を観たらかなりstoryが読めちゃう感じですが、それでも劇場で観たいと思う気持ちは強くなったのは、監督の過去の2作品が、私も気に入っている作品だからだと思います(笑)
高松での上映がないと、DVDになっちゃいそうですが・・・・^^;
by minku~♪ (2008-05-11 13:09) 

cs

minku~♪さん、コメントどうもありがとうございます。
この作品、やっぱり上映事情がそれほどいい訳じゃないんですね。
幅広い層にアピールするには。
でも、みんくさんの言うように過去の監督の作品から考えて、観たくなる気持ちはすごく分かります。もしかしたら自分も気づけなかったままだったら見逃しちゃってた可能性があります。できることなら、高松で上映が実現してくれることを祈ってます。視覚効果で惹きつける内容じゃないし、DVDでも味わいがほぼ損なわれないとは思うんですが。
by cs (2008-05-11 22:23) 

minku~♪

高松のミニシアターでも上映があり、やっと昨日観て来れました!

やはり好みの作品でした^^
子役のハッサンが特に素晴らしいなぁと思ったらカブール生まれのカブール育ちで演劇の経験がない(少年期のアミールも同様)けど、アフガニスタンの文化や現実を本当に知っている子だからだったんですね。
数年前になるけど、韓国の「おばあちゃんの家」で高齢の素人のおばあちゃんを起用した映画が実に味わい深い映画に仕上がったのを思い出します。
あと、父親役も、ラヒム・ハーン役なども適役でばっちりで映画の完成度を高めていたなぁと思ったら、ネバーランドのキャスティング担当の力があった様ですね^^
この監督は原作者の伝えたいことを的確に捉え、撮影開始前からしっかりと地盤を築かれているのを凄く感じ、それが2時間9分と言う限られた時間にしっかり収まっていることに気付きました。
原作者の生まれ故郷がかつてどれほど平和で美しい国であったかということを伝えたい気持ちと、子供の頃などに犯した過ちを誰もが大なり小なり持っており、それを年月経ってからでも、違った形ででも、償える道があることを伝えたかった気持ちを強く感じました。
時間を置いて、また観てみたい作品です。


by minku~♪ (2008-05-25 15:07) 

cs

minku~♪さん>
映画館で観ることが出来たようで、何よりでした。
あの子供たちはしっかりしてて、表情に当然ながら過酷な目の前の現実を経験している悲しみがあふれてて、それでも子供らしくて無垢なままで、見ていて胸が締め付けられますね。
そういえば、ネバーランドも子供たちがよかったですね。

by cs (2008-05-25 15:25) 

てくてく

こんばんは^^
csさん、いつも丁寧なコメントありがとうございます。

csさんの記事を読んで、
また映画を思い出してウルッと来てしまいました。
心に残る素晴しい作品だと思います。
by てくてく (2009-03-21 02:34) 

cs

てくてくさん、niceとコメント、こちらこそどうもありがとうございました。

有名なスターが登場するわけでもない、必ずしもこうあってほしいと望んだ形で結末を迎えられるわけでもない作品としては、誰もが観たいとすぐ思えるようなものではないかもしれませんが、だから個人的に観ておいてよかった、出会えてよかったと思える作品になっているのかもしれません。
しばらく時間が経つとまた観たくなる、本当に心に残る作品でした。
by cs (2009-03-21 08:28) 

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