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「グッド・シェパード」 [cinema]

グッド・シェパード

グッド・シェパード

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • メディア: DVD

ここ数週間、結構次々映画館で鑑賞できているからか、順調に記事の更新が遅れています。
この作品は10/28(日)に観てきました。
2時間47分の長尺に若干びびりつつ、久々となるロバート・デ・ニーロ監督作品をじっくり堪能してきました。
第二次大戦を契機に始まった対外諜報活動からその発展形としてのCIAの成立、その後の顛末に関わる中心的な人物として描かれたエドワード・ウィルソンの姿。そのキャラクターが実在するモデルは居るにしてもエリック・ロスの手がける脚本として創出されたものだと後から知ってかなり驚きました(勝手にこれは史実をベースに人物造形も入念なリサーチに基づいて徹底的に掘り下げられてできたものだと思い込んでいたので)。
エリック・ロス氏はスピルバーグ監督作「ミュンヘン」も担当していて、その陰影に富む人物描写と時代背景の映し出し方がやはり近い世界に思えて、納得です。一般的な市民としての感覚をその極限状態での任務を遂行していく中で徐々にすり減らしていって、よりプロフェッショナルになるほどにヒトとしての体温は失っていくかのような過酷な状況は、それが“やるべき仕事”であったとしても、観ていてやるせない気持ちが残ります。そんな部分で自分はこの作品を観ていて「ミュンヘン」と共通する感覚を持ちました。
ここで描かれるCIAの佇まいの中には007やMIシリーズのような華やかさは一切登場しないし(まあ、それは当然なんでしょうが)、その任務が当然の如く善良であったはずの人の良心をじわじわと蝕んで、家族はおろか同じ任務に就く友人でさえ誰も心から信じることを拒絶させてしまう冷徹な判断力と警戒心を身に付けていくそのプロセスがあまりにリアルで、ほぼ全編無表情で寡黙に通しているマット・デイモンの孤独がなんだか実感を持って伝わってきました。
今回のこのタイトル、シェパードというのは単に従順で有能っていうだけじゃなくて、途中で描かれているようなエリート・毛並み・家柄というイメージにも結びつきます。脚本中のWASPについてやりとりする会話部分も印象深く記憶に残ってます。
映像は技法に凝るのではなくマスターショットがあくまで中心でオーソドックス、そしてデ・ニーロはもちろん、ジョン・タトゥーロ、アレック・ボールドウィン、マイケル・ガンボン、ウィリアム・ハートといった俳優陣の顔ぶれがいぶし銀のアンサンブルで、淡々と静かに濃密に語られるドラマが圧倒的でした。


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