「虹の女神 Rainbow Song」 [cinema]
熊澤尚人監督の作品はまだこれまで観たことがありませんでした。
・・と、思ったら実はポニーキャニオン社員として「スワロウテイル」製作に関わってたんですね。
それで岩井俊二監督(今回はプロデュースと変名で脚本担当ですが)とのつながりが。納得です。
熊澤監督がおそらく撮影現場で間近で見ていた岩井俊二監督、あるいは撮影の篠田昇さんの姿が今回の作品にはキャラクターそのものじゃなくても投影されている気がしました。
上野樹里さん演じるあおいがカメラとフィルム、そしておそらく現場で表現できるものに最善の内容にこだわるところだったり、市原隼人くんの演じる岸田の優柔不断だったり鈍感だったりしている側面にしても、監督の眼差しは温かいし深い懐ですべて包み込んでいる感じ。その情景は切なくもあって、見えている空が失ってしまった身近にいて大切だった人のこととふと重なってくるように思えました。そのひとつの象徴があの水たまりの中の虹、環水平アークだったのかなと。
いろいろ思いめぐる、ちょっと独特の味わいを感じた作品の中で、限られたシーンで登場するだけなのにいちばん印象深かったあおいの妹、かなを演じた蒼井優さん。もしや彼女の視点が監督の目線に近かったのかもしれないと、ちょっと感じました。
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