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卒業/重松清 [本のこと。]

卒業

卒業

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/02/20
  • メディア: 単行本


「疾走」を先に買って読み始めたはずなのに、こちらを読み終えてしまいました。
今回は1冊に中篇が4つ。
その中のひとつがお目当ての「あおげば尊し」でした。
既に映画作品を鑑賞してしまっているので物語としては結末まで知っている小説を味わうことになりました。文章と映像では違う表現です。原作に忠実であっても、作品は決して同一じゃない。でも今回に関してはお互いを程よい距離感で補完しているような印象で、たとえば登場人物が映像として俳優さんたちの表情として浮かんではこない程度で、でもイメージが小説の中でしっかり鮮明で、もう一度また映画が観たくなりました。小学校の担任のセンセイにとって(いや、それだけじゃなく、たぶんどんな大人にとっても)、扱いずらい生と死の問題。答えがあるわけじゃないのは分かっているんだけど、子供たちは答えを探して尋ねてくる。逡巡していても時間は先へ進むので、解決しなくても何か回答は出さなくてはならなくなる。
別の作品「卒業」での主人公も、「追伸」の主人公も、やはり戸惑いながら、時間とともに仕方なく先へと踏み出させられる。でも、それは単にごまかした挙句だけのことじゃないし、辛さだけじゃないし、血が通っている。大変なんです。
読み終えて、とても充実感がありました。


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くみみん

おはようございます。重松清さんって少年から青年になるところ
のこども?の気持ちをとらえるのうまいですね!私なんて親の年代
ですが、親としてでなく青年の気持ちで読めてしまうのが不思議です。
by くみみん (2006-04-12 11:10) 

cs

kumiminさん>
niceとコメント、ありがとうございます。
そうですね、こどもの気持ち、大人でも子供でもないある意味で中途半端な時期だったり、そういう不安定な心を的確にきちんと言葉によって表現できるなんて、すごい難しいことをしてるんだと思います。それを読んで共感できるっていうのは、やはり言葉がリアルなんですよね。いま、「疾走」を読み進めている真っ只中なんですが、シュウジくんの心の動きがストレートに伝わってきます。映画を先に見ているからもちろん、その映像も思い浮かぶんだけど、小説にしかない世界観とかがやはりありますね。それだけに痛々しくもあるんですが・・・そこを逃げないで書き進めること自体、すごいなぁと思っています。
by cs (2006-04-12 22:29) 

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